王者斉藤裕太(31=花形)が5回TKOで、王座統一の初防衛に成功した。昨年9月の王座獲得直後に潰瘍性大腸炎を発症。闘病中に暫定王者となった木村隼人(29=ワタナベ)と対戦。激しい打撃戦もアッパーで攻勢となり、3回には木村の右目がふさがった。5回に右を突き上げると木村陣営がタオル投入。5回2分8秒TKO勝ちを収めた。

初回から木村が積極的に攻めてきた。2回からは打ち合いになったが、斉藤が左右のアッパーで何度も突き上げた。「前に出て来てくれたのがよかった。足ではさばかれちゃうので」。さらに練習したボディーやワンツーに続くアッパーが有効打になった。「右は自信あったが、こんなにうまくいくとは思わなかった」と笑みが浮かんだ。

2度目の挑戦で王座を獲得したが、2週間後に血便が出て、潰瘍性大腸炎と診断された。「呪われた階級」と言われていただけに「引退か」と落ち込んだ。12月に走り始め、1月から練習再開。2月にスパーリングを始めると「4回戦にもやられたが、簡単にベルトは渡したくなかった」。そこから前回以上に仕上げた。

花形会長が4月から日本プロボクシング協会会長となった。就任後の初の試合だった。「負けたら一生言われる。会長のためにも負けるわけにはいかない。顔を立てられた」と安堵(あんど)した。花形会長も「お祝いをもらいました」と感謝した。

試合後には昨年9月王座獲得時と同様に夫人と3人の息子をリングに上げた。5月には待望の長女が誕生する。毎試合シューズに子供の名前を入れ、4人目を加えたシューズを履くために「まだまだ頑張る」。

次戦ではセミで3回KOした同級1位鈴木悠介(30=三迫)との指名試合となる。12日には山中慎介同級トーナメント開催が発表されたが、斉藤は「ぜひ出たい」。相手次第だがトーナメントで異例の防衛戦へも意欲を示した。