日本ボクシングコミッション(JBC)と日本プロボクシング協会(JPBA)は21日、格闘技界やネットテレビなどで行われているボクシングと銘打つ興行について、共同声明を発表した。

ちょうど22日にはAbemaTVの番組企画でキックボクシングの那須川天心と元3階級王者の亀田興毅氏が特別ボクシングルールで対戦する。タイミングが重なったが、JBCの安河内剛事務局長は「この共同声明はAbemaTVさんに向けたものではありません。たまたまこのタイミングになっただけです」と説明した。

声明を出したきっかけは、昨年末のメイウェザーと那須川のエキシビションマッチボクシングの名前を借りたイベントが急増したことにある。その後、議論を重ね、約2カ月前から声明を準備し発表に至った。安河内事務局長は「ボクシングという看板を利用している格闘技イベントや団体が増えてきて、ボクシングそのものが浸食されてきている。大阪ではライセンスのない人がボクシングを興行しました。公式記録にも載らないような試合。これからも横行しそうなので、今のウチにクギを刺そうと、けん制の意味も込めて一般論として、ボクシング界としてのポリシーを声明として出しました」と狙いを語った。

声明には内省の意味もある。「最近はボクシング界もタガが緩んできて、非公式イベントに協力することでボクシング自体が脆弱(ぜいじゃく)化していくということを意識していない。だからボクシング界もそこをしっかり意識しましょうというアピールもある。一方でこれまでボクシング界も敷居が高すぎた。我々も襟元をただして、門戸を開放できるところはしたい、ということも声明に盛り込んでおります。我々もしっかり意識を持って新しいボクシング界を模索していくという意味でも、しっかり自分たちの立ち位置を認識していこうということです」とボクシング界の改革も見据えた。

JPBAの林隆治事務局長補佐も「今回はこちらの姿勢を示したのみで、決して協力しないというわけではない。もしボクシングをやるのであれば、手続きを踏んで、きちんと講習を受けてもらいたい。何かが起こって、ボクシングが危険、と思われるのは避けたい」と説明。選手の安全と競技性を守る意向を示した。