「革命戦士」こと長州力(67)が、45年のプロレスラー人生の幕を閉じた。最後の試合となる6人タッグマッチで越中詩郎(60)、石井智宏(43)と組み、藤波辰爾(65)、武藤敬司(56)、真壁刀義(46)組と対戦。新日本時代の元付き人真壁に敗れたが、すがすがしくリングに別れを告げた。

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最後は真壁の下で力尽きた。「これで終わりだなという感じだった」。長州は98年に1度引退。“2度目”のこの日、10カウントはなかった。後楽園ホールに長州コールが鳴り響く中、藤波、石井らと抱擁し、晴れやかな表情でマイクを手にした。

「45年間、プロレスファンの皆さまに応援され、ここまでくることができました。私にとってプロレスとは、なんだったかな。すべてはイーブンでした」と独特の表現で振り返った。英子夫人をリングに呼び寄せ、抱擁し、キス。「家族のもとに帰ります」。さらに「この会場の雰囲気をつくっているのはファンのみなさんです。引き続き選手に向けて熱い声援をよろしくお願いします」と後輩らを思いながら、すがすがしい表情でリングを降りた。

引退試合のチケットは即日完売。試合は全国27カ所の映画館でライブ中継された。平成維震軍やWJプロレス時代をともにした越中、最後の弟子石井とタッグ。藤波側には真壁と後輩の武藤。長州を中心に団体を超越した夢のカードが実現した。

おなじみの「パワーホール」の入場に、白のリングシューズ、黒のトランクス。67歳になっても衰えないぎらぎらしたオーラで、最後までファンを熱狂させた。永遠のライバル藤波とマッチアップすると、すぐさま藤波の必殺技ドラゴンスクリューをさく裂。真壁にはリキラリアットを見舞い、サソリ固めも決めた。真壁にキングコングニードロップでとどめを刺されても3度返した。執念を見せて、会場を何度も沸かせた。

試合後、今後については「何も考えてない」とだけ話した。プロレス人生最後の試合。頭に思い浮かべていたのは、アントニオ猪木だったと明かした。「あの方をずっと見てきた。リングの上のアントニオ猪木に近づくのはとてつもなく大変なこと」。プロレスの深みを感じながら45年を走りきった。【高場泉穂】

▽藤波辰爾のコメント まだ彼(長州は)これからですよ。現役と同じで燃えている。(自身の興行)ドラディションでオファーしようかな。復帰してもらえるように、自分も準備しないと。