階級最強を決めるトーナメントのワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)制覇へ、WBA・IBF世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が強力な「援軍」を得た。

11月7日、さいたまスーパーアリーナでWBA同級スーパー王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)との決勝に向け、4日には都内で予備検診に臨み、両者ともに異常はなかった。試合にはラグビーW杯日本代表のWTB松島幸太朗(26)が井上の応援に駆けつけることが分かった。

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決戦間近を証明するように、減量の影響で両者ともに顔が細くなった。「お互いにフォルムが小さくなりましたね」と冗談交じりに5階級制覇王者ドネアの印象を口にした井上尚の表情には、自信が満ちあふれていた。「やることはやったし、不安材料は何1つない。試合当日、やりたいことをぶつけるだけです」。2日後に迫ったバンタム級頂上決戦を待ち望んでいた。

試合当日、11月2日の決勝まで盛り上がったラグビーW杯日本大会で活躍した日の丸戦士が応援に駆けつける。所属ジムの大橋秀行会長(54)が関係者を通じ、日本代表の初8強入りに貢献したWTB松島を招待したという。同会長は「ラグビーの勢いが尚弥のWBSS制覇にも伝わってくれれば」と説明。トライを量産した松島の応援する姿が試合当日、2万人以上が集結するさいたまスーパーアリーナの熱気をさらに高めてくれそうだ。

井上尚自らもラグビー日本代表に熱視線を送っていた。ラグビーに造詣が深いタレント武井壮と食事した際、日本代表の試合もチェック。またCTB中村亮土(28)がタックルなどで井上尚の動きを参考にしていると知ると「本当ですか」と喜び、刺激を受けた。この日の予備検診では身長が5・7センチ、リーチも3センチほどドネアより下回った井上尚は「そこをどう考えるか。それだけ」と言えば、父真吾トレーナーも「想定内です」。ラグビー日本代表同様、体格差を超越する戦いをみせるつもりだ。

3日にジムワークを打ち上げた。「練習も上がっていますし、体重も仕上がっている」。大橋会長によれば練習終了時で、リミットを切っていたという。栄養摂取しながらの減量も可能だ。WBSS制覇へ、レジェンド狩りの準備が整ってきた。【藤中栄二】