エースが帰ってきた。

棚橋弘至(44)が、NEVER無差別級王者の鷹木信悟(38)を破り、第32代新王者に輝いた。

あわや3カウントの場面が何度も訪れたが、リングに倒れ込む鷹木に2度のハイフライフローを浴びせ、35分に及ぶ戦いを制した。

お互いに膝を集中的に狙い、終盤は足を引きずりながら、技を出し尽くした。鷹木のパンピングボンバー、棚橋のスリングブレイド。得意技を浴びせても沈めることができない。解説席に座ったIWGPジュニアヘビー級王者の高橋ヒロムが2人を「かっこいい」と認めるほどの激闘。両者互角の戦いは、気持ちの部分でわずかに上回った棚橋が初のベルトにたどり着いた。

今月6日に挑戦者に指名されてから、鷹木の技術を認める発言を繰り返し、さらに「愛してます」と告白?するなど、試合外でも素直な気持ちをぶつけてきた。そんなライバルとの激戦に終止符を打ち「弱気になっていた部分もあったが、鷹木に教わった。プロレスラーはいかなる時も胸を張って前に進んでいく」と叫んだ。

その後、初めて手にしたベルトで「名古屋、盛り上がっていこうぜ!」とエアギターを披露し、喜びを体で表現した。

19年1月のIWGPヘビー級以来、約2年ぶりとなるシングルのタイトルを獲得。試合後は、この日天山を破ったO・カーンに襲撃され、挑戦状をたたきつけられた。後味の悪い終わり方となったが、復活した姿だけは、しっかりとファンの心に届けた。