スターダムのアイコンこと岩谷麻優(28)が、世志琥(27=シードリング)とのシングルマッチを制した。ともに11年1月の同期デビュー。

世志琥が移籍し、別々の道に進んだが、ともに歩んできた10年間の思いを1つ1つの技に込め、激闘を繰り広げた。リングの下では、お互いの仲間たちが並んで声援を送るなど、団体同士の意地をかけた戦いとなった。岩谷は放心状態の中、世志琥のダイビング・セントーンを返し、コーナーからのムーンサルトプレスで3カウントを奪った。

6年ぶりに同じリングに上がり、勝敗以上の思いが込み上げた。「何にも変わってないと思ったけど、めちゃくちゃ強かった。試合してくれてありがとう」。6年ぶりに参戦し、敗れた世志琥は「10周年の日本武道館で岩谷と試合ができたのも、奇跡だと思う。自分には最高の同期がいるんだと思った」と素直な気持ちを明かした。

スターダムの1期生で現役のレスラーは2人だけとなった。岩谷は「自分はスターダムで10年間やってきた。世志琥もシードリングを引っ張ってきた。違うリングで戦ってきたけど、これからは一緒の未来も味わってみたい」と今後も共闘していく意志を明かし、世志琥も快諾。思いをぶつけ合った後は通路で倒れ込み、バックステージまでたどり着くことができないほど疲れ切っていた。

入門当初、周りから「1番最初に辞める」と言われていた。何回も逃げ出しては戻り、引っ張る立場まで成長。ワールド・オブ・スターダムは2度の戴冠、計7度の防衛で目標とされる存在に上り詰めた。「心折れそうになったけど、本当に辞めなくてよかった」。この日のオールスター・ランブルでは、レジェンドたちが出場。苦楽をともにした先輩たちとの再会を子どものように喜んだ。現在ベルトはないが、10年間走り続けてきた岩谷の足跡は、しっかりと日本武道館のリングに刻まれた。