ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔が所属するAmbitionジムが、日本プロボクシング協会に向けて日本ボクシングコミッション(JBC)役員の退任など4点を求める上申書を提出したと31日、発表した。

文書は28日付で同協会の花形進会長に宛てたもの。昨年大みそかのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦(井岡-田中恒成戦)時のドーピング検査で、井岡に薬物反応が出たことが一部報道で明らかになり、JBCは倫理委員会で審議・調査を開始、今月19日にJBCが井岡の潔白とドーピング検査体制や情報管理の不備を認め、謝罪していた。

Ambitionジムが日本プロボクシング協会に提出した上申書の全文は次の通り。

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日本プロボクシング協会

会長 花形進様

 

Ambition GYM

会長 木谷卓也

 

「拝啓

立夏の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を承り、厚く御礼申し上げます。

さて、ご承知のことと存じますが、当ジム所属の井岡一翔に対して、ドーピング違反疑惑がかけられ、JBCの倫理委員会による調査が行われておりました。幸いにして、井岡において、尿検体から陽性反応が生じた原因がJBCによる尿検体の保管ミスに伴う尿検体の腐敗であることを証明できたたために、井岡に対して制裁が科されることはありませんでした。

JBCは、この問題について、JBCのミスを認めて、井岡に対して表面上は謝罪しております。永田委員長は、オンラインの会見で、井岡に対する謝罪の意思を示すとともに、井岡の名誉回復措置を講じると表明しました。しかしながら、JBCにおいては、未だに、井岡に対する誠意ある謝罪をしていませんし、井岡の名誉回復措置も講じていません。

尿検体の保管ミスの問題は、JBCのドーピング検査に対する認識や理解の低さを露呈するに至りました。今回、ドーピング違反疑惑がかけられたのは井岡でしたが、井上尚弥選手や村田諒太選手などの他の名だたる世界チャンピオンが嫌疑をかけられる可能性も十分にありました。

当ジムは、JBCには、尿検体の保管ミスのみならず、マスコミへのリークを含む情報の管理体制、ドーピング規定の不十分な定めなど、その他にも数々の問題があると考えております。

対戦相手の田中恒成選手の所属する畑中ジムもJBCの対応に立腹し、畑中会長は、JBCの体制や対応を批判しており、当ジムも畑中会長の発言を、理解することができます。

JBCが抱える問題は、当ジムや畑中ジムのみならず、貴協会に所属する全てのジム、全ての選手に関わる問題です。井岡は、このような嫌疑をかけられるのは井岡を最後にして欲しいと公言しましたが、当ジムも同じ意見ですし、全選手が同じ意見を持っていると思います。選手が疑いや憂いを持つことなく試合に臨むことが、現在のJBCの体制のもとではできません。

つきましては、当ジムは貴協会に対して、貴協会からJBCに対して下記の要望を提出することを求めます。現在および未来のボクサーが正々堂々と試合することが出来るようにするための要望です。是非、ご審議くださいますようお願い申し上げます。

以上、当ジムの意見を上申いたします。

       敬具

 

   記

<1>JBCの執行部の責任を認め、現役員が退任すること

<2>個人情報がマスコミにリークされた原因を追及し明らかにすること

<3>ドーピング規定を整備し、ドーピング検査を国際基準に準拠させること

<4>井岡・田中両選手に対して誠意ある謝罪をし、名誉回復措置を講じること」