ボクシング前WBC世界ヘビー級王者デオンテイ・ワイルダー(35=米国)が現王者タイソン・フューリー(33=英国)に向けて勝利祝福の言葉を発信した。9日(日本時間10日)に米ラスベガスで同級王者フューリーとの3度目対決で11回KO負けを喫したワイルダーは14日(日本時間15日)に公式SNSを更新。「最後になりましたが、フューリーの勝利を祝福し、永遠に続く素晴らしい歴史的メモリーに感謝します」とつづった。この投稿に対し、フューリーは公式ツイッターで「最高の3部作だ」と好反応した。

20年2月の2度目対決に敗れた後、フューリーのグローブ不正行為を公言し、契約時の再戦条項で法廷まで持ち込んで3度目対決を迎えていた。当時の3団体(WBAスーパー、IBF、WBO)同級王者アンソニー・ジョシュア(英国)との4団体統一戦を阻まれたフューリーとの関係は悪化。試合前の恒例のフェースオフ(にらみあい)さえできないほどの緊張感があったが、今回のワイルダーは王者に敬意を表した。

入場時の赤いガウンの写真を掲載し「何よりもまず、情熱と決意にかき立てられた私の感情を世界に与えることを許してくれた神に感謝したい。長いプロセスを支えてくれたファンとチームにも感謝したい。結果に失望していなかったと言えばウソになる。だが、この旅を振り返ると、神が私に体験してほしいと望んでいたことは、私の予想をはるかに上回りました」とつづった。

フューリー戦では3度のダウンを喫したが、逆に2度のダウンも奪い、ワイルダーは再評価されている。「勝利できなかったが、かつて賢者は『勝利はレッスンの範囲内である』と言った。勝つためには時々負けなければならないと学んだ。とはいえ、ファンが楽しめる勝利が欲しかった。うまくいけば、この競技で真の戦士、真のキングであることを証明できた。うまくいけば試練や困難にどれほど激しく打たれても、信じるもののために生き、再び戦うために自らを拾い上げることができることを証明できた」とも投稿した。