前東洋太平洋バンタム級王者で同級2位の栗原慶太(28=一力)が約10カ月ぶりの王座返り咲きに成功した。初防衛戦だった同級王者中嶋一輝(28=大橋)に挑戦。3回52秒、TKO勝ちで、ベルトを奪い返した。同回に右フックでダウンを奪うと、立ち上がった中嶋をロープに追い込み、再び右フックでダウンを追加。レフェリーストップ勝ちとなった。

1月に元WBC世界同級暫定王者井上拓真(25=大橋)に9回負傷判定負けで王座から陥落。約10カ月ぶりの再起戦で挑戦して取り戻した東洋太平洋のベルトを手にし「前回負けて悔しかった。どんな形でも勝つと言い聞かせていた」と安堵(あんど)の笑み。スタンド観戦していた長女星空ちゃんに「とうちゃん、パパが勝ったよ」と歓喜の報告で試合会場をわかせた。

この中嶋戦から王座育成に定評のある田中栄民トレーナーとコンビを結成した。中嶋のようなサウスポーの対策に乗り出し、潜在的にあった“苦手意識”を克服ししていた。栗原は「前回負けて、もう6敗しているのにすごく悔しかった。現実逃避したけれど、すぐに前を向いてこの試合に向けて練習した」と振り返る。強打を誇る中嶋とのハードパンチャー対決を制したが「今までの対戦相手で1番のハードパンチを持つ。極力もらわないように距離を取ったが、かなり食らってしまった」と苦笑いも浮かべていた。