プロボクシングWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(28=大橋)が6月7日、さいたまスーパーアリーナで、WBC世界同級王者ノニト・ドネア(39=フィリピン)との王座統一戦に臨むことが30日、発表された。19年11月、さいたまスーパーアリーナで開催された階級最強を決めるトーナメント、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)バンタム級決勝以来約2年7カ月ぶりの再戦となる。

同日、Amazonプライム・ビデオによる今後の戦略と22年以降に配信する作品のラインアップに関する記者発表会に井上が出席。この場で同カードが発表され、井上は「ようやく再戦が決定しました。自分が1度決着がついていますが、ドネアが素晴らしい戦いをしてWBC王者になったので興味を持ちました。前回の戦いは(12回)判定まで、今回は13ラウンド目のスタートの続きの感覚でいる。どう作用してくるか楽しみです」などと意気込みを示した。

さらにファイトプランについて「ドネアも自分もボクシングの引き出しの多さは同じ。どの引き出しを持ってくるか。本当にそこの駆け引き」と作戦の一部も明かした。この井上-ドネア戦が、4月9日の2団体王座統一戦となるWBA世界ミドル級スーパー王者村田諒太(帝拳)-IBF世界同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)戦に続き、Amazonプライム・ビデオで生配信されるとも発表された。

昨年末からドネアとの3団体統一戦となる再戦交渉が続けられていた。今年1月、井上は徐々にドネア対策を意識しながら調整していると明かし「1度、12回を戦っていて、手の内がわかった上でのスタートになる。武器だったり、戦略だったり、また面白い試合になると思う」と強調。プロキャリア初のリマッチとなるため「同じ選手と2戦目になれば初めて。そこに関しても楽しみな気持ちです。それがドネアだということが1番のモチベーションになっています」と再戦決定を待ち望んでいた。

【WBSS決勝から井上-ドネア戦までの主な経過】

◆19年11月=WBSS決勝で井上がドネアから1度ダウンを奪い、判定勝ち。

◆20年4月=井上-WBO世界同級王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)戦が新型コロナウイルスの影響で延期。

◆同5月=WBC世界同級王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)-ドネア戦がコロナ禍で延期

◆同10月=井上が米ラスベガス初進出でモロニー(オーストラリア)に7回KO勝ち。

◆同11月=ウバーリ-ドネア戦が再び組まれたが、ウバーリが新型コロナウイルス感染で撤退。同12月、ドネアが前IBF世界同級王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)とのWBC世界同級王座決定戦に臨むことが決定。

◆同12月=ドネアが新型コロナウイルス感染で王座決定戦を辞退。代替で組まれたロドリゲス-レイマート・ガバリョ(フィリピン)戦が暫定王座戦に変更され、ガバリョが暫定王者に

◆21年5月=ドネアがWBC王者ウバーリに挑戦し、5回KO勝ち。井上との再戦を希望。

◆同6月=井上が2戦連続ラスベガス戦でマイケル・ダスマリナス(フィリピン)を3回TKO撃破。試合視察したWBC王者ドネア、WBO王者カシメロが同8月に王座統一戦に臨むと表明。

◆同7月=ドネアがカシメロ陣営によるドーピング資料提出の遅延やレイチェル夫人への無礼な態度に激怒し、カシメロ戦撤退を表明。

◆同11月=ドネアが新プロモート会社プロベラムと契約を発表。

◆同12月=ドネアがWBC暫定王者ガバリョに4回KO勝利し井上との再戦をアピール。井上は2年ぶりの国内世界戦(両国)でアラン・ディパエン(タイ)に8回TKO勝ち。王座統一戦の実現を希望した。