暴れ龍が大阪の地から駆け上がる。第3代IWGP世界ヘビー級王者の鷹木信悟(39)が、現USヘビー級王者で第2代世界ヘビー級王者のウィル・オスプレイ(29)との因縁の対決を制し、リーグ戦を2勝2敗の勝率五分に戻した。

メインイベントとなったDブロック公式戦。昨年5月の福岡大会で行われた団体の至宝をかけた頂上決戦で、45分に迫る熱戦に敗れた難敵と相対した。序盤から会場の熱はヒートアップ。鷹木が鷹木式ストームブレイカーを繰り出せば、オスプレイがメード・イン・ジャパンを繰り出す、一進一退の攻防に発展した。

だが、雌雄を決したのはドラゴンの必殺技だった。21分55秒、ラスト・オブ・ザ・ドラゴンをさく裂し、3カウントを奪取。勝ち点2以上に価値のある1勝を挙げ、激しく拳を握りしめた。

1敗も許されない状況でも、がむしゃらに食らいついていく。マイクを持つと「可能性がゼロじゃない限り、俺は絶対にあきらめない。他力本願だろうが、なんだろうが、最後まで信念を貫く」と語気を強めた。19年6月に初めてG1参戦表明した場所も、昨年6月に王座を奪取した場所も、ここ大阪だった。「今日の勝利をターニングポイントに、再び上がっていくぞ」と宣言した。

ライバルの存在が尽きることないエネルギーを生んだ。試合後は、退場するオスプレイと言葉を交わした。OKサインを出されるなど、健闘をたたえあうシーンもあった。鷹木はバックステージで「国籍も世代も違う。片思いかもしれないけど、やっぱりあいつはいいライバルだよ」と、認めた。いがみ合ってきた期間もあったが、「あいつが進化するから『負けてたまるか』と心技体を向上させる原動力になっている」と、存在に感謝した。

次はベルトをかけての対戦に照準を定めた。「俺とお前なら今度はタイトルマッチしかないだろ」と、言い切った。ジュニアヘビー級時代からしのぎを削ってきた2人の戦いは、これからも進化を続ける。