総合格闘技RIZINは31日、さいたまスーパーアリーナで年末恒例のビッグイベントとなる40大会を開催する。今大会の目玉となるのが、米総合格闘技団体ベラトールとの5対5の「全面対抗戦」。両団体から現役チャンピオンを含む5人のトップファイターたちが参戦し、団体の威信をかけてぶつかり合う。
RIZIN軍の「大将」を務めるのは、ライト級王者ホベルト・サトシ・ソウザ(33)。「副将」はフェザー級王者クレベル・コイケ(33)。静岡・磐田、ボンサイ柔術の両雄だ。ブラジリアン柔術をバックボーンに持ち、寝技で圧倒的な決定力を誇る2人の総合格闘技戦績は52戦45勝(37一本勝ち)。打撃でも急成長を示し、RIZIN最強の呼び声高い。なぜ、彼らは強いのか。その理由を、2人の打撃コーチを務め、自身もRIZINで活躍するファイターの鈴木博昭(38)に聞いた。
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2人の強さ。まず、そもそもの生き物レベルが高いですね。そして、格闘技に対する取り組み方が尋常じゃない。強くなる要素がそろいまくっているので「そりゃ強くなるだろう」っていう感じです。ベルトを取った時も、やる前はドキドキしますけど、終わってみれば「ですよね」っていう感じでした。
10年近く前に、僕が所属していたジムに彼らがやってきたのが、出会いでした。もともと柔術界では超有名選手ですから、高速道路を使って1時間くらいかかるこんなジムまで「わざわざ時間とお金をかけてくるんだ」っていう印象が、すごく強いですね。当時から、強さに貪欲だったんだと思います。
指導するようになったきっかけは、18年に僕が独立してフリーになったことですね。ジムを作って半年くらいたった時に、「そっちに行っていいか」と連絡をもらって、そこから打撃を指導するようになりました。前のジムで初めて見た時は、打撃をやったことがあるのかないのかわからないような状態で、本当に「ジャブはこう」「ワンツーはこう」といった感じで1から学んでいたので、最初はどんな感じなのかなと疑問だったんですけど、うちの打撃指導がいいと思ってくれたのか、そこからはずっと通ってくれています。
能力はもちろん高いんですけど、種類はそれぞれ違うので、1人1人と話し合いを重ねてともにやってきました。サトシの場合は、非常に正統派ですね。踏み込みのスピードが尋常じゃないですし、拳もすごく固い。グラップラーの人たちって中間の打撃を嫌うんですけど、殴って効かせながらも組めれば強いと思い、そこはずっとやってきました。
クレベルは本人いわく、「才能がない」。僕らからしたら「何言ってんだ。お前は!」っていう感じなんですけど、そういう風に自己分析して「俺は何でもやるよ」っていうスタンスで取り組んできました。蛇みたいなトリッキーな動きが持ち味なので、その長所を残しつつ、力の流れを消さないような動き方を教えてきました。
寝技最強の2人ですが、もちろん、打撃も武器になっていると思いますよ。でも、打撃で勝ってくれとは言いません。勝つことが大事なので、そのためにちょっとでも役立っていたらうれしいなという感覚です。打撃への理解が深まれば、少なくとも相手の打撃に対する恐怖心もだいぶ変わる。殴って倒したから「打撃がうまくなった」ではない。打撃は、自分を守る武器にもなっていると思います。そういう意味では、成長を実感しています。
でも、2人が他の人よりも強い理由は、テクニックの他にあると思うんです。それは、格闘技にかける思い。こういってしまうと簡単に聞こえますけど、彼らは言葉通り、格闘技に魂をかけてきた。その度合いが抜群なんです。リーマン・ショックが起こり、周りのブラジル人が次々と母国に帰っていく中で、(サトシの兄を含む)3人だけは日本に残ったというエピソードは有名ですけど、彼らにとって生き抜くための武器が格闘技だった。今でも、練習で手を抜くことはないですし、殺気さえ感じます。緊張感にあふれていて、取り組む姿勢は僕も勉強になっています。
今回のベラトールとの一戦は、大一番と言われていますけど、彼らの持っているポテンシャルから考えたら、そこで戦う人間だと思いますし当然です。サトシに至っては、もっともっと上で戦う人だと思って見ています。ある意味、ここがスタートライン。来年はベラトールのライト級グランプリがあるといううわさもあるので、ここは快勝して、そこで優勝するために「さあどうしよう」という感じですね。勝ちますよ。【取材・構成=勝部晃多】

