プロボクシング元IBF世界スーパーフェザー級王者の尾川堅一(35=帝拳)が、右肩手術を乗り越え、約10カ月ぶりの再起戦に臨む。4月1日に東京・後楽園ホールでクライ・セッタポン(36=タイ)との60・0キロ契約体重10回戦を控える。昨年6月の初防衛戦で挑戦者ジョー・コルディナ(英国)に2回KO負けを喫して王座陥落して以来のリングに「もう1回、世界のベルトが欲しい。再起戦になるが、世界前哨戦の気持ちで練習している。次も見据えながら目の前の試合に集中している」とテーマを掲げた。

昨年8月、右肩の可動域を広げるため手術を受けた。18年頃から違和感を覚え、無意識に右肩をかばってきたという。今回の再起を前に神経に触れていた骨を1センチほど削り「手術後、今までで一番痛かった。これは(現役が)終わったと思うぐらいの痛み。良くなる気がしないほどの痛みだった」と当時を振り返る。

全治3カ月と言われながら術後2カ月となる10月からジムワークを再開。徐々に右肩の痛みが消え、12月には全力での右腕のトレーニングも可能になった。21年11月、米ニューヨークで臨んだアジンガ・フジレ(南アフリカ)とのIBF世界同級王座決定戦でも全力の右でなかったと明かし、「右肩をかばったパンチで世界が取れた。手術前を100%とすれば、今は500%ぐらいのパンチ力になっている自信がある」と自信の笑みを浮かべた。

国内リングも20年10月以来、約2年6カ月ぶりとなる。「世界タイトルを日本でみせられなかったのは残念ですけど」と前置きしつつ、「久しぶりの日本なので倒したい。右を思い切り打てる喜びがあるので、思い切り打ちたい。右の怖さを相手に覚えさせていくことが大事。自然と右で倒せる展開になると思う。再び世界に旅立てる試合にしたい」と力を込めた

2月1日に35歳を迎え「現役はあと1~2年と長くない。このまま突っ走って年内にもう1度、世界を取りたい。まだまだ行けるところをみせたい」と全開の「右」で進化した姿をみせる構えだ。