同級4位重岡銀次朗(23=ワタナベ)が、屈辱をバネにベルトを手にした。同級3位で元同王者レネ・マーク・クアルト(26=フィリピン)と対戦し、9回KOで勝利した。

   ◇   ◇   ◇

▽重岡銀次朗こんな人

“ボクシング人生無敗”の重岡銀は普段、ジム内外で「銀ちゃん」の愛称で親しまれている。銀次朗の由来は、父功生さん(47)が好きな漫画「ミナミの帝王」の主人公・萬田銀次郎。重岡銀は「彼みたいにたくましくなれという意味だそうです」と明かす。プロアマ通じ、ボクサーとしては人生無敗のたくましさを体現しているものの、実はリングを離れれば“弟分”キャラとして愛されている。

熊本から上京当初に勤めていたアルバイト先の居酒屋や、今年1月の世界初挑戦が決まるまで勤務していたとろろそば店でも、アルバイト仲間から「銀ちゃん」と呼ばれ、同年代から中年の同僚まで世代を問わずに熱烈な応援をもらっていたそうだ。「やっぱり『銀次朗』とか『銀ちゃん』とかで名前を覚えてもらいたいなと思いますね」としみじみと口にする。

リングネームに名字の重岡を残したのは、兄優大と「重岡兄弟で覚えてもらいたいと思った」との思いが強かったと振り返る。兄弟で世界ミニマム級の4団体王座を独占することが目標。勝利を重ねていくごとに、ファンからも「銀ちゃん」と呼ばれる機会も増えていくことだろう。【藤中栄二】

★重岡銀次朗(しげおか・ぎんじろう)アラカルト★ 

◆生まれ、家族構成 1999年(平11)10月18日、熊本市生まれ。父功生さん、母加寿美さん、姉真梨乃さん、ボクサーの兄優大、妹日奈子さん

◆競技歴 幼稚園から小学6年まで空手。小学4年から並行してボクシングを開始。小学5年からU-15(15歳以下)全国大会で5連覇。

◆高校5冠 熊本・開新高で16、17年高校選抜連覇、16年国体優勝など5冠を獲得。アマ戦績は56勝(17KO・RSC)1敗。

◆プロで日本王座、アジア王座獲得 18年9月にプロデビューし、プロ4戦目でWBOアジア・パシフィック・ミニマム級王座を獲得(2度防衛後に返上)。昨年3月には日本同級王座も獲得。

◆スタイル 身長153センチの左ボクサーファイター。