ボクシングの元WBC女子世界フライ級王者で、男性として準公式試合に臨む真道ゴー(本名・橋本浩=はしもと・ごう、36=グリーンツダ)が9日、大阪市内のJBC関西事務局で前日計量に臨んだ。公式試合に準ずる位置づけだが、前日計量からの流れを含め、公式試合と何ら変わりはない。

10日にエディオンアリーナ大阪第2競技場で行われる試合はバンタム級(リミット53・5キロ)3回戦で真道は53・4キロ。対戦相手、2勝2敗1分けの石橋克之(35=姫路木下)は53・3キロでクリアした。チケットは前売りが10枚程度を残すのみで、あとは当日券100枚だけで、過去の興行にない売れ行きという。

準公式試合とはいえ、真道にとって16年6月13日以来の実戦。計量もその時以来で、7年半ぶりとなる。「久々の緊張感でしたね。減量がしんどくなかったと言えばうそになりますけど、これから試合という感覚が戻ってきた。今は幸せです」と笑顔で語った。

性同一性障害に悩んできた真道は17年10月に引退。性別適合手術を受けて、戸籍も男性に変えた上で、ボクシングへの情熱を失わず21年5月に本石昌也会長に男性としての復帰を直訴した。男性としてのリング復帰に尽力してきた同会長は「ようやくここにたどり着けた。ひとつの達成感があります」と表現した。

JBCは医師や専門家による諮問委員会を設置して検討してきたが、今年7月にプロテスト受験は認めない結論を下した。一方で公式戦に準ずる試合なら容認する含みも示してきた。準公式試合はプロデビュー前の若手選手らが対戦する「プレ試合」で関東では実施例があるが、関西では初の試みとなる。

約50ラウンドのスパーリングをこなしてきた真道はバキバキに仕上がった上半身を披露した。「男性として過ごしてきた時間の方が多い。人前で上半身はだかも当たり前のことで、今は感謝しかない。世間の声として男が、女がという声もあるかと思うが、まわりがどうこうより1人のボクサーとして最高のパフォーマンスを見せることしか考えていない」と言い切った。

少なくとも日本で過去に例がない。本石会長も「どうなるんでしょうね」と言った通り、世界を極めたとはいえ元女性が男性のプロボクサーを相手にどれだけ戦えるかは未知数だ。「女子の時から負けることが大嫌い。自分が練習してきたことを出し切る。そしてやるからには勝ちたい。負けず嫌いを貫く」。鋭い眼光はすでに戦闘態勢に入っていた。【実藤健一】