ボクシングIBF世界バンタム級1位の西田凌佑(27=六島)が「超ネガティブ思考」で戴冠する。同級王者エマヌエル・ロドリゲス(31=プエルトリコ)戦(5月4日、エディオンアリーナ大阪)に向けて27日、大阪市内の所属ジムで練習を公開。通常の格闘家とは正反対の「俺は弱い」の下克上的戦術で、9戦目での世界王座奪取を狙う。

ほえるどころか“弱音”が強みとなる。「俺が最強」「負けるなんてないよねぇ」がなじみある格闘家の思考だが、西田は違う。「ロドリゲスに今のボクシングをしても通用しない。やられるイメージしかない」と言ってしまった。

これが通常のメンタリティーという。指導する武市トレーナーは「何も考えてない。それが西田の強み。すごい舞台ですごい王者を相手にするのに気後れも何もない。出すもん出したら後は知らんというタイプ」と表現した。

拳ひとつで殴り合うボクサーとして、まさに希少なタイプだ。その一方で「人一倍、負けたくはない」と言う。イメージトレーニングでは相手の長所ばかりが目立ち、ボコボコに殴られて終わる。だからこそ「そうならないように相手の嫌がるパターンを考える」。

3年前のWBOアジアパシフィック・バンタム級タイトル戦では、断然不利とされた元世界王者・比嘉大吾に大金星を挙げた。大逆転劇の裏には「弱者のメンタリティー」が潜む。「絶対に勝てないと言われた試合もやってきた」。元WBA世界ライトフライ級王者具志堅用高らに並ぶ9戦目での世界王座奪取へ-。自然体で挑む。【実藤健一】