ボクシングIBF世界ライトフライ級王者・矢吹正道(32=LUSH緑)が、超異例の2階級制覇に挑む。IBF独特のルールによりベルトを保持したまま、1階級上のフライ級王者アンヘル・アヤラ(24=メキシコ)に挑む。試合は29日に愛知県国際展示場で行われ、7日は名古屋市内の所属ジムで練習を公開。元WBC世界フライ級王者クリストファー・ロサリオ(30=ニカラグア)を相手にスパーリングを行った。
「2キロの差」が矢吹の精神面にも好影響を与えた。ライトフライ級のリミット48・9キロからフライ級50・8キロ。試合の前に減量苦と闘ってきた。「順調という感じ。前回と変わらないですよ」と言うが、柔和な表情にゆとりを漂わせた。
IBF独自のルールによりライトフライ級のベルトは返上せず、2階級制覇に挑む。勝てば日本選手初の快挙。ただ、「今後のことは分からないが、ライトフライ級でやることはもうない」と断言した。それでも調整に緩みはない。「違いは全くない。削りに削って最後のひと絞りがどうなるか」。現状でリミットまであと5キロ。前の階級では7キロとこの2キロ差がでかい。
2階級制覇へ、陣営もぬかりはない。この日、スパーリングパートナーを務めたのはフライ級の元世界王者ロサリオ。4ラウンド拳をまじえ、ロサリオは「(フライ級でも)全く問題ない。右ストレートは差し込まれる」と評価した。
ロサリオは4年前に矢吹が挑むアヤラとノンタイトル戦で対戦。判定負けしたが、その力量を知る。「(アヤラは)力のある選手だが前に押すと足が出ずに下がるのが弱点。矢吹は回を重ねるごとに強さを増すがアヤラは平行線。倒す可能性は十分ある」と言った。
矢吹は元世界王者とのスパーに「常に緊張感を持ってやれている」と感謝し、「痛めつけながら最後にKOに持っていければと思っている」と描いた。「自分の中で強敵と思っている」という王者アヤラを撃破して新たなステージへ。矢吹がまた新たな扉をこじ開ける。【実藤健一】
○…矢吹のトレーナーを務める滝沢卓氏も「階級の壁」突破に自信を示した。「前回(の世界戦)同様、素晴らしい調整。年齢を重ねて無駄のない、渋いボクシングになってきた」と円熟味を強調した。王者アヤラについては「対峙(たいじ)してみないと分からない。(動画を)見れば見るほど強さを感じる」。難敵と認めるだけに万全の対策、仕上げをほどこす。

