日本相撲協会は26日、愛知県体育館で大相撲秋場所(9月10日初日・両国国技館)の番付編成会議を開き、昨年のアマチュア横綱で、東幕下11枚目で臨んだ名古屋場所を7戦全勝で制した矢後(23=尾車)の新十両昇進が決まった。矢後は5月の夏場所で、幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏んだ。15年名古屋場所で新十両昇進を果たした御嶽海(出羽海)以来12人目となる、所要2場所の最速記録で関取の座を射止めた。また中大出身では、03年夏場所の魁道以来、14年ぶりの関取誕生となった。

 新十両昇進決定後、矢後は師匠の尾車親方(元大関琴風)同席の元、愛知・瀬戸市内に宿舎を構える尾車部屋で会見した。尾車部屋では代々、関取になると師匠の現役時代のしこ名の1文字をとって「風」をつけている。現役では幕内の嘉風、豪風、十両の天風がいるが、矢後は当面、本名を通すことになった。関取の座を確実にした後、尾車親方と中大の先輩にあたる豪風を交えしこ名について話し合ったところ「まだこの世界に入って2場所。まだヤゴじゃないか。トンボになって羽ばたいたら改名しよう。(出身の)北海道の人に『矢後』の名を広めれば親孝行にもなる。慌ててトンボになる必要もない。羽根を温めて、羽ばたいたら改名すればいい」(尾車)の結論に至ったという。幼虫のヤゴから成虫のトンボになるまで、鍛錬を積む。

 横綱大乃国と同郷の北海道芽室町出身の矢後は「北海道から最近、関取が出ていない(現役は十両旭大星のみ)。活躍して頑張っている姿を見せたい。前に出る力をもっと磨いて、目標は稀勢の里関。まずは勝ち越しを目指したい」と秋場所での抱負を語った。また大関豪栄道(境川)、西前頭筆頭の貴景勝(貴乃花)ら多くの関取を輩出している、同じ埼玉栄高出身の力士も「負けたくない」と、追いつけ追い越せの姿勢で稽古に精進する。