幕下付け出しデビューから所要2場所のスピード出世を果たした西十両13枚目の矢後(23=尾車)の新十両場所は、負け越しの結果となった。

 東十両6枚目の旭秀鵬(29=友綱)と対戦。けんか四つの対戦となったが、先手争いで劣勢となり、相手得意の右四つに組まされた。矢後も左上手を引き胸を合わせたが、アゴが上がり体勢もやや腰高に。投げを打たれ体が崩れ、そのまま上手投げで屈した。

 立ち合いには「当たりは五分だった」と不満はなさそうだったが、やはり得意の左四つにさせてくれなかったのが敗因。「相手の形になったのが駄目。本来(の得意)は左(四つ)ですから」と振り返った。

 負け越しという、1つの結果は出た。それにも前向きに「勉強になりました。(十両ともなれば)いろいろな人がいる。まだまだ自分の相撲を磨かないといけないと思いました。自分の相撲を取れたのが少ないし、もっと積極的な相撲を取れるようにしたい」と、しっかりした口調で話した。生返事でなく、頭の中で考え自分の言葉で返す報道対応は、初土俵から一貫して変わらない。

 泣いても笑っても、残りは1番。相手は西幕下3枚目の木崎(木瀬)。十両残留がかかる大事な土俵になりそうだ。そこは考えず、自分の相撲を取りきって新十両場所を締めくくる。