東前頭13枚目阿武咲(22=阿武松)が、首位を走る同学年を1差で追いかける。東前頭15枚目大奄美(25=追手風)を圧倒。押し出しで下し、7勝2敗として2場所ぶりの勝ち越しにも王手をかけた。

阿武咲が普段通り、鋭い出足で右手を相手の胸に押し込んだ。大奄美の上体を起こし、止まらず前に出た。「しっかり前に出ようという意識が常にあるのがいいこと。相手を起こしたところをしっかりついていく感じだった。思い通りの相撲」。

優勝戦線をにぎわせている。同じ96年生まれの小結貴景勝(22=千賀ノ浦)が1敗をキープした。阿武咲は2敗を守る4人の中では番付最下位。当面は番付上位との取組が組まれない可能性が高く、優勝のチャンスも十分ある。「変な気負いもなく、良い相撲を取ろうと思っているだけ」。今年の初場所9日目に、右膝後十字靱帯(じんたい)を損傷。十両まで番付を落とすなど、挫折を知る角界期待の若手は地に足をつけている。