コロナ禍により大相撲夏場所が中止になり、本場所開催まで待ち遠しい日々が続きます。そんな中、日刊スポーツでは「大相撲夏場所プレイバック」と題し、初日予定だった5月24日から15日間、平成以降の夏場所の名勝負や歴史的出来事、話題などを各日ごとにお届けします。12日目は大関とりの懸かっていた高安を振り返ります。

〈大相撲夏場所プレイバック〉◇12日目◇17年5月25日◇東京・両国国技館

大関とりの関脇高安が、場所後の大関昇進をほぼ確実にした。宝富士を上手投げで退けて10勝目。昇進目安となる直近3場所での33勝目に届いた。

今場所初めてもろ手で立つと、突っ張る意識とは裏腹に「反射的にまわしを取りに行ってしまった」。肩越しの右上手。宝富士を呼び込む「危ない相撲」だった。だが、思い切りが良いのも今場所の高安。「1度行ったら、上手から振り切るしかない」。強引に振り回し、最後は力ずくで転がした。割れんばかりの拍手が身を包んだ。

明確な昇進の声はまだないが、内容への評価は高い。八角理事長(元横綱北勝海)は「安定した力はつけた印象。特に今場所は落ち着いている」とし、審判部の藤島副部長(元大関武双山)も「12日目で一応の目安ですからね。内容は力強い。何となく勝っているわけではなく、力がある勝ち方だ」と示唆した。

高安は13日目に横綱日馬富士を破って昇進を決定づけた。