進退を懸けて土俵に上がる横綱白鵬(36=宮城野)が、豪快なすくい投げを決めて初日から3連勝とした。初場所で初優勝を果たした平幕の大栄翔を寄せ付けず。初日からの3連勝は昨年7月場所以来1年ぶりとなった。綱とりに挑む照ノ富士も、平幕の隆の勝を下して3連勝。早くも三役以上の無傷は2人だけとなった。

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成長株を寄せ付けなかった。立ち合い右で張って出た白鵬。出足の鋭い大栄翔の動きを止めて左を差すと、勢いよく腰を右にひねった。右足を軸にした豪快なすくい投げ。わずか2秒8で料理した。3月中旬の右膝手術の影響を感じさせない横綱相撲。「(大栄翔の動きを)止めたことですくうことが出来た。昨日からスピードがある感じがする。速い相撲だった」と日に日に手応えを得ている。

自信を取り戻させてくれた相手だった。春場所初日。その前の初場所で初優勝を果たし、勢いに乗っていた大栄翔と対戦。立ち合い鋭い出足からの寄り倒しで圧倒した。場所前から右膝に血と水がたまっていた状態の中、強行出場したが寄せ付けなかった。部屋に戻ると「いやー、全然勝てるね」と一言。結果的に3日目から途中休場したが、まだ土俵に立てると思うことができた一番だった。この日も「体が動いているなという感じですね」と、再び自信を深めた。

6場所連続休場中で相撲勘に不安はあったが、一番取るごとに少しずつ力を取り戻している。宿舎に戻った後は、弟弟子らとの食事でリフレッシュ。「みんな気を抜かずに頑張ろう」と声を掛けるなど、心にゆとりがある。「とりあえずみんなとおいしい物を食べてゆっくりしたい」と落ち着いた口調で言った。

右肘と右膝にサポーターを装着するなど満身創痍(そうい)ながら、1年ぶりに初日から3連勝とした。3日目以降の出場も昨年の7月場所以来1年ぶりだ。連日欠かせない体のケアについて問われると「それは千秋楽に言いますよ」と言葉を濁した。初日にも、取組後の表情を問われた際に「千秋楽に言います」。皆勤まで残り12日間。白星を重ねた先に、千秋楽が待っている。【佐々木隆史】