大関照ノ富士(29=伊勢ケ浜)の横綱昇進が事実上、決まった。

昇進を預かる審判部が打ち出し後、八角理事長(元横綱北勝海)に昇進を審議する臨時理事会の開催を要請した。理事長は横綱審議委員会(横審)に諮問する。横審で出席委員の3分の2以上の賛成が得られれば推薦が決まり、21日の秋場所番付編成会議後に開く理事会で「第73代横綱照ノ富士」が正式に誕生する。昇進すれば17年初場所後の稀勢の里以来。モンゴル出身では14年春場所後の鶴竜以来5人目となる。

照ノ富士は23歳だった15年夏場所後に大関昇進を果たし「将来の横綱候補」として期待されたが、17年九州場所で大関から関脇に陥落した。両膝のケガや内臓疾患に苦しみ、関取の座から陥落。一時は師匠の伊勢ケ浜親方に何度も引退の意思を伝えたが、そのたびに引き留められた。

19年春場所に序二段で復帰。大関経験者が幕下以下で相撲を取るのは初めてだった。分厚いテーピングを施しながら土俵に上がり、痛みを抱えながらも19年九州場所で関取復帰。再入幕の昨年7月場所で2度目の幕内優勝を果たすと、今年3月の春場所後に大関復帰を果たした。先場所までの6場所で優勝3度、優勝同点1度。近年は場所ごとに優勝者が入れ替わる傾向が強かったが、抜群の安定感を示していた。