関脇御嶽海(28=出羽海)が、母校・東洋大パワーで逆転優勝を狙う。西前頭4枚目大栄翔を押し出しで下し、5場所連続で勝ち越した。優勝争いトップの横綱照ノ富士とは2差。13日目以降には対戦が予定されており、すでに作戦を練っているという。8月開催の東京五輪では東洋大の後輩、競泳の萩野公介らが活躍。負けじと奮闘し、19年秋場所以来3度目の賜杯を目指す。

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ハツラツとした相撲で御嶽海が3敗を守った。立ち合いから大栄翔の突き押しをくらったが一歩も引かず。しつこく下からあてがって応戦し、たまらずに引いた相手を一気に押し出した。待望の勝ち越しも、すでに先を見据える。「目標は2桁。ほっとしていられない」と表情を引き締めた。

後輩に負けじと奮闘する。東京五輪で競泳の萩野や大橋悠依、陸上男子の桐生祥秀ら東洋大の後輩が活躍した。「後輩たちが頑張ってくれて刺激になった」。親交の深い萩野とは連絡も取ったが「言葉はかけていない」とサラリ。その心を問われると「頑張っている人に頑張ってと言うのは失礼。静かに見守るのが先輩。『感動をありがとう』とは言いましたけど」と先輩心をのぞかせた。

その萩野を秋場所観戦に誘っており、12日目以降に来場する可能性があるという。5場所連続で勝ち越し、先輩のメンツを保った。後は賜杯を抱く姿を後輩に見せるだけだ。11日目を終えて、1~3敗勢は8人と混戦模様。2差で追いかける照ノ富士とは13日目以降の対戦が予定されており「作戦は考えている。体も動いているので、その通りにいけばいい。(作戦は)秘密です」と不敵に笑った。

7月の名古屋場所は紫色だった締め込みを、今場所は母校カラーの濃紺色の物を締めている。「(自分と対戦するまで)横綱は負けないでしょ。僕も負けないように白星をつなげるしかない」。母校愛を抱きながら、逆転優勝を信じて土俵に上がる。【佐々木隆史】