相撲界で親方の独立が相次いでいる。そのため相撲部屋の名称が変わったり、転属があったりと、注視していないと事情がわかりにくくなっている。特に2月は動きが激しくなるため、事情を整理してみた(イラスト参照)。

▽昨年12月 1月12日に65歳の定年となった二所ノ関親方(元大関若嶋津)が、荒磯親方(元横綱稀勢の里)と名跡を交換。元横綱稀勢の里が二所ノ関親方となり、これまでの荒磯部屋は、二所ノ関部屋となった。旧二所ノ関部屋は、部屋付きだった放駒親方(元関脇玉乃島)が部屋を継承し、放駒部屋となった(荒磯親方は再雇用で残る)。放駒部屋は今後、千葉・船橋市から東京・足立区へ移転予定。

▽1月 一山本、松鳳山らは新たに放駒部屋の所属として初場所に臨んだ。幕下島津海が新十両昇進を決め、新生放駒部屋から関取1号となった。

▽2月 4月に定年を控える尾車親方(元大関琴風)が尾車部屋を7日付で閉鎖。部屋付きだった押尾川親方(元関脇豪風)が独立し、押尾川部屋(東京・墨田区)を興す。尾車親方は押尾川部屋の部屋付きとなる。十両矢後らが転属となる。もう1人の尾車部屋付きだった中村親方(元関脇嘉風)、幕下友風らは二所ノ関部屋へ転属となる。

境川部屋から武隈親方(元大関豪栄道)が1日付で独立し、武隈部屋(東京・大田区)を興す。初場所で元小結竜電を破って幕下優勝を果たした西川ら力士3人が転属する。

友綱親方(元関脇旭天鵬)は、6月に70歳となる大島親方(元関脇魁輝)と名跡を交換。1日付で友綱部屋は大島部屋となる。

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元横綱稀勢の里は一門を代表する名跡を襲名し、中村親方や幕内経験のある友風が転属するなど二所ノ関部屋は一気に活気づく。武隈部屋は実力者の西川のほか、昨年全日本選手権準優勝の神崎大河(近大)が春場所で三段目100枚目格でデビュー予定。武隈部屋からの関取誕生は、それほど遠くなさそうだ。

若嶋津、琴風らが師匠の座を降り、稀勢の里、豪栄道、豪風、嘉風ら、数年間まで土俵を沸かせていた親方衆が、新たな環境で次世代を育てていく立場になった。元横綱白鵬の間垣親方、元関脇安美錦の安治川親方らも継承や独立を視野に入れている。世代交代は少しずつ、進んでいる。【佐々木一郎】