大相撲春場所(3月12日初日、エディオンアリーナ大阪)で新入幕を果たしたカザフスタン出身の金峰山(きんぼうざん、25=木瀬)が、同国初の幕内力士になる喜びを語った。27日、東京・両国国技館で春場所の番付発表会見が行われ、「うれしいです」と声を弾ませた。所要8場所というスピード出世について「できれば1、2場所ぐらいは早く上がりたいなと思っていた」。現状に満足せずさらなる高みを見据えた。

もともとは柔道をやっていたが、元横綱朝青龍のダグワドルジ氏から「相撲を覚えれば強くなる」との誘いを受けて18歳で来日。日大相撲部では20年の学生選手権個人4強。翌21年11月の九州場所で三段目100枚目格付け出しでデビューを飾り、所要5場所というスピードで22年秋場所で新十両昇進。勢いは止まらず今年1月の初場所で11勝を挙げ、晴れて新入幕を果たした。

師匠の木瀬親方(元前頭肥後ノ海)は「順調にきてますよね。(相撲内容は)突っ張ったときの強さが違います」と評す。入門当時から関取になるだけの実力が備わっていたと期待を寄せていたからこそ、故郷熊本の山(金峰山)をしこ名に付けた。四つもできる柔軟さがあるが、「突っ張りを磨けば9割は勝てますから。三役ぐらいまでは突っ張っていってほしいですね。勝ちにこだわらず、小手先で取らない相撲をしてほしい」と願う。

まだ25歳。故郷で応援する家族の存在にも力をもらう。レスリングやボクシング、柔道と比べて母国では相撲人気は薄いようだが、「関取を目指して、また若い衆が来てほしいです」と力強く言った。自身の活躍でその底上げに貢献したい。新入幕の春場所。「大阪のおいしいから揚げたこ焼きは好きです」と陽気に笑いながら、まずは勝ち越しへ準備する。【平山連】