大関とりに挑む関脇大栄翔(29=追手風)が、2敗目を喫した。琴ノ若(佐渡ケ嶽)に敗れた。

自慢の突き押しは今場所も健在。初日に正代、2日目に御嶽海、3日目には自身よりも48キロも軽い、116キロの小兵翠富士に何もさせず突き出して3連勝を飾った。3日目を終えて大関とりの3関脇のうち唯一無敗。好発進に「力を伝えられている。いい感じ」と納得顔だった。

続く4日目に錦木(伊勢ノ海)と対戦。横綱照ノ富士、大関とりの豊昇龍を破って勢いに乗る相手に敗れて初黒星を喫したが、「悪い相撲じゃなかったが、土俵際だけ。(明日以降に向けて)特に変わらない」と淡々とした。その言葉通り、ここで崩れないのが29歳の強さ。5日目に明生を下し、大関昇進目安の3場所33勝へ、残り10日で7勝とした。「連敗しないよう気持ちを強く持とうと思っていた」と力説。連勝も連敗も多いとされる押し相撲だけに、悪い流れを断ち切りひと安心した。

直近2場所で計22勝を挙げ、場所前には「(大関に)上がりたいと心から思うし、自分の力を出し切れば上がれるんじゃないかと思う」と力強く語った。今年11月で30歳を迎える中で、「稽古場の感覚、本場所の成績、気持ちの面でも、常に去年よりも強くなったと思っている」と、実力は毎年、上がっている実感がある。

会場のドルフィンズアリーナに飾られた七夕の短冊には、「上の番付」と自らの欲するところをストレートに書いた。「チャンスを生かせるように、自分の気持ちをしっかりと持ってやりたい」と巡ってきた好機を逃したくない。中盤戦に入った6日目に2敗に後退となったが、勝負はここからだ。巡ってきた好機を逃さないよう、白星を積み重ねていく。

◆大栄翔勇人(だいえいしょう・はやと)本名・高西勇人。1993年(平5)11月10日、埼玉県朝霞市生まれ。朝霞第四小1年から相撲を始める。埼玉栄高3年時に高校総体団体2位、個人3位。昔から元大関千代大海(現・九重親方)のファンで、埼玉栄高の山田道紀監督の紹介で追手風部屋に入門。12年初場所で初土俵、14年名古屋場所で新十両、15年秋場所で新入幕、20年初場所で新小結、同秋場所新関脇。得意は突き、押し。182センチ、164キロ。