関取衆最軽量116キロの東前頭2枚目翠富士(27=伊勢ケ浜)が、大仕事をやってのけた。

2場所連続優勝を目指す綱とりの大関霧島に快勝。得意の肩透かしで、無敗だった相手に土をつけた。さらに結婚していたことも判明。今場所後の2月14日には、都内で式を挙げることも分かった。3場所休場明けから復活優勝を狙う、兄弟子の横綱照ノ富士の援護射撃にもなる今場所初白星。巻き返して、来場所の新三役に望みをつなぎ、喜び二重奏、三重奏へとつなげるつもりだ。

運動量と反射神経では、負けない自信があった。関取衆の中で体重は最軽量、身長も2番目に低い174センチの翠富士は、一瞬の隙をついて相手の懐に潜り込んだ。もろ差しになって寄ると、慌てた霧島に両腕をきめられかけた。だが「固められないように、ちょこちょこ動いた」と、相手が上から覆いかぶさってくる展開には慣れていた。横綱候補を前後左右に揺さぶり、最後は肩透かし。勢い余って踊るように土俵をクルクル回り、大歓声を浴びた。

「お客さんも喜んでくれてよかった。しかも横綱の一番前で。今年1発目の白星が大関からというのもうれしい」と、取組後は笑顔が止まらなかった。連敗を止めただけではなく、同部屋の照ノ富士の直前の取組で、場内を盛り上げる援護射撃。前日3日目は、琴ノ若に肩透かしで敗れてお株を奪われていた。それだけに「得意技が決まると、やっぱりうれしい」と胸を張った。

まだ1勝3敗だが、今場所で勝ち越せば、上位陣の勝敗次第で来場所で新三役の可能性がある。「三役はずっと目標。ここから勝ち越して三役に上がりたい」と、夢は膨らむばかりだ。

私生活でも充実期を迎えている。バレンタインデーの2月14日に、都内の神社で式を挙げることを明かした。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)夫妻らを招き、新たな門出の準備を進めていた。「結婚式を控えていたので、全敗じゃなくてよかった。ここから巻き返さないと」。新三役の権利を得る勝ち越しに、兄弟子照ノ富士の復活優勝。最高の形で晴れの日を迎えるつもりだ。【高田文太】

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