結びの一番で、大関豊昇龍(25=立浪)が絵に描いたような下手投げで、小結大の里(23=二所ノ関)を豪快にひっくり返した。その瞬間、館内も熱狂の渦に包まれた。
正面土俵下で審判長を務めた、審判部の九重副部長(元大関千代大海)も、興奮冷め止まぬ様子で語った。「うまく決まりましたね。10回やって1回できるかどうかというね。ちょっと腰が高かった大の里が、かぶさってきたタイミングでしたから、はね上げた。柔道みたいにね」と感嘆の様子で振り返った。さらに「大の里の両脚を宙に浮かせるぐらいのタイミングのいい技が決まって、大関として一安心じゃないかな」と、ここまで6勝4敗と不本意な土俵が続いた豊昇龍の心中を推しはかった。やはり血は争えないのか。おじの元横綱朝青龍を、ほうふつとさせる切れ味抜群の投げを思い出してか「おじさんのような、ひらめきとバネを使った」と、現役時代に何度も戦ったライバルを思い浮かべるように話した。
報道対応した日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は取組前に、豊昇龍の大の里対策として「(大の里が)出てきたら、投げを打つにしても思い切って打つ。悩んだら一瞬で出て来られるから」と推察していた。まさに、その通りの大の里が出るタイミングで打った大技に「見事な裏返しだ。見事だね。大関だから強いところを見せられて良かったんじゃないかな」と声のトーンを上げた。負けた大の里については「急いで出たら投げがあると思って出足が止まった。(それで)余計に(投げを)食った」と察していた。

