最速の横綱昇進へ好発進した。先場所優勝で初の綱とりに挑む大関大の里(24=二所ノ関)が、東前頭筆頭の若元春を寄り切り。先場所敗れていた相手に、わずか3秒8で雪辱した。

今場所後に横綱昇進なら、昭和以降最速だった羽黒山、照国の16場所を上回る、初土俵から所要13場所の最速となる。「母の日」のこの日、故郷の石川県津幡町から、母中村朋子さん(49)が父と妹と会場に駆けつけて応援。節目の白星に加えて、記録ずくめの昇進で最高のプレゼントを届ける。

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今場所に懸ける闘志が前面に出ていた。大の里は、もろ手突きの立ち合いで突っ込んだ。若元春に左からいなされ、右から突かれて上体をのけぞらせた。左右から揺さぶられたが、構わず前に出た。体を密着させて右を差す得意の形となると、勢いは加速し、寄り切った。「よかった。落ち着いて対処できた。いつも通り集中して、やるべきことをやっていきたい」。場所前に「しっかり稽古してきた」と、準備万全を強調していた通りの船出だった。

初日と2日目の小結高安戦を綱とりロードのカギとしていた。2人には先場所の本割で敗れており、ともに右四つの自身とは、けんか四つの左四つ。ただ今月6日には、同じく左四つを得意とする師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)に8勝2敗。師匠との三番稽古で初めて圧倒していた。差し手争いを制することができなくても「体が自然と動いた」と、右上手を引く新たな取り口を身に付けた実感を得られた。その自信が迷いのないこの日の立ち合いに表れ、勝ちきった。

この日は母の日。母朋子さんが、父知幸さん、妹葵さんとともに両国国技館で観戦した。日体大時代に茶色のキーケースを贈られたが、母は「ケガなく無事にいてくれれば」と、元気に相撲を取っていることが、何よりもうれしいという。

夏場所初日は必ず母の日で、デビュー戦だった一昨年は石崎(現朝紅龍)に敗れた。その時に着ていた黒ワンピースは本場所中に2度と着ておらず、以来、毎場所、地元の倶利伽羅(くりから)不動寺に「必勝 大の里」と書いた札を奉納した。昨年の母の日は当時の横綱照ノ富士に初めて勝ち、今年は横綱昇進へ向かう白星。母は「白星が1番のプレゼント」といい、大の里は節目の白星に「よかった」と静かに語った。横綱昇進という過去最高のプレゼントを届ける日が、近づいてきた。【高田文太】