深い悲しみを抱え、大関経験者の西前頭12枚目御嶽海(32)は土俵に立った。12日未明にフィリピン出身の母マルガリータさんが急死。55歳だった。一昨年名古屋場所直前に、74歳で父春男さんが亡くなったのに続き、悲しみを抱えての本場所。初日は前頭狼雅を立ち合いから押し込んだが、左上手を取りにいった一瞬の隙をつかれ、寄り切られた。「いつもはもっと初日は楽に取れるけど、今場所は硬いのかな…」。精神面の影響は少なくなかった。

関係者によると、11日に母の容体が急変したと聞くと、実家の長野・上松町にほど近い、緊急搬送された病院へ急行した。そこから12日深夜に帰京。この日、3日ぶりに都内の部屋で朝稽古に臨み、四股、てっぽう、すり足に、たっぷりと時間を割いた。邪念を振り払おうとしているかのように、稽古に集中していた。

稽古後、付け人を通じて「相撲に集中したいので」と、マルガリータさんに関する質問には答えない意思を報道陣に伝えた。言い訳はしたくなかった。母の死を言い訳のようにしていると、思われたくなかった。取組後、母に関する質問はなかった。付け人の三段目出羽ノ城は「ご協力ありがとうございました」と、御嶽海の内心を代弁した。

相撲に関する質問には気丈に答えた。最後に「今日みたいな元気な相撲を見せたい。負けても元気な相撲を」と、前向きに話した。マルガリータさんが大好きだった元気な相撲を取る。そう誓った。【高田文太】

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