IOC(国際オリンピック委員会)も6月8日の理事会で正式に北朝鮮の東京五輪不参加を認めた。バッハ会長が、わざわざ平壌まで飛んで金正恩総書記と会談、参加を取り付けただけに残念だ。

「チーム・ニッポン」で東京五輪の招致に一丸となった。馳浩自民党招致委員長は、ウィーンに行って北朝鮮の張雄IOC委員と接触、東京への投票を依頼した。中国も韓国も隣国ながらトルコ・イスタンブール支持派だっただけに、北朝鮮の協力はありがたかった。

東京に決定し、組織委員会が森喜朗会長で発足。全国各自治体は、ホストタウンとして名乗りをあげる。委員会から日体大へ連絡あり、「難民選手団」と「北朝鮮」のホスト役を引き受けて欲しいとのこと。喜んでOKを出したが、「難民選手団」は早大に移った。

日体大は、東京外大と朝鮮大学校と連絡をとり、朝鮮語の通訳を確保した。スポーツを基軸に世界平和に貢献するとうたう大学だけに、北朝鮮選手団を歓迎すべく準備をすすめる。

ところが、コロナ禍の心配から「不参加」を表明した。数年前、アフリカで猛威を振るったエボラ出血熱ウイルスのために、外国人の入国を認めないことがあった。ウイルスに関して敏感で、その恐怖が「不参加」を決めたのかもしれない。いや、日本側の対応の悪さにも、腹に据えかねたのかもしれない。

JOC(日本オリンピック委員会)、組織委員会、政府は、バッハ会長の意をくんで歓迎策を練っていたなら、また違っていたかもしれないが、名ばかりの平和の祭典になってしまえば、もったいないと痛感する。

北朝鮮オリンピック委員会から日体大へメッセージが届いた。「共和国オリンピック選手団の訓練条件と競技準備に多大な関心を寄せてくださったことに対し、深い謝意を表します。委員会の総会では、世界的な保健危機状況から我が国選手たちを保護するため、参加を断念する決定を下しました」。淡々とした内容だが、選手の側に立てばあまりにも悲しすぎる。