城南信用金庫(東京・品川区)は、4月27日から営業部本店で、耳の不自由な人や高齢で耳が遠くなった人のために、「軟骨伝導イヤホン」を全国の金融機関で初めて導入した。イヤホンは球形で、使用後にウエットティッシュで拭き取れば耳あかなどの心配はない。同信金は本店を皮切りに、ほかの支店へ順次広げていく計画だ。

金融機関では従来、耳の不自由な人へのサービスは、筆談だけだった。もっと客に寄り添ったサービスとして、城南信金は公立大学法人奈良県立医科大学の細井裕司学長が発見した「第3の聴覚 軟骨伝導」の技術を生かした「軟骨伝導イヤホン」を採用。きっかけは、「よい仕事おこしフェア実行委員会」(事務局=城南信金)が2月、医学を基礎とするまちづくりを行うMBT(Medicine-based Town)構想を展開する奈良県立医科大学との包括的連携協定だった。

◆軟骨伝導 音源が内耳(蝸牛=かぎゅう)に至る音伝導経路の1つ。この経路は04年、奈良県立医科大学の細井裕司教授(現学長)によって発見されたもの。骨の振動を伴わないメカニズム。気導や骨導(骨伝導)と異なることから「第3の聴覚経路」とも呼ばれる。

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