上方落語協会の次期会長候補者選挙が26日、大阪市の天満天神繁昌亭で行われ、現会長の笑福亭仁智(71)が候補者に選ばれた。今年の選挙では、18年に「勇退」を宣言した前会長の桂文枝(80)にも票が集まる異例の展開となった。

候補者選挙は上方落語協会会員約280人によって非公開で行われるもの。出席者によると、接戦で仁智が選ばれたという。

文枝は03年に会長に就任。06年に大阪・天満天神繁昌亭をオープンさせ、戦後の上方落語界悲願だった定席を復活させた。18年には神戸新開地・喜楽館の開場にも尽力した。

仁智はその後を受け、18年に会長に就任。会長任期は2年で、ここまで3期務めている。今後は、5月下旬に行われる理事会で承認されれば、4期目に入る。

仁智は「(非公開なので)内容については言えない」とした上で、「喫緊にやることはいっぱいある。問題山積なので次の方が解決しないと」と今後の展望を語った。

一方、接戦だった文枝は午前10時25分ごろに“早退”。「まだ(総会を)やってる途中なので、また終わってから」とだけ話し、弟子とともに立ち去った。

出席した関係者は「文枝さんは京都に新たな劇場を作ると、やる気満々だった」と様子を明かした。

とはいえ、文枝にとって、仁智は18年に会長のバトンを自ら渡した現職。その仁智が4期目濃厚となったことについて、両者をよく知る、出席した落語家は「(仁智が)汗かいてコツコツ頑張ってるのは皆知ってる。したいこともいっぱいあるはず」と期待感も口にした。

また、会長に意欲を示していた笑福亭銀瓶は「最近は上方落語協会がひとつになるという感覚が薄れてた。(会長に意欲を示したことに)『価値がある』との声もいただいた。僕も協会も、このアクションをムダにしてはいけない」と振り返っていた。