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紙面企画

事件記者清水優 ブラジル体当たり

事件記者清水優 ブラジル体当たり

◆清水優(しみず・ゆたか)1975年(昭50)生まれ。38歳。東京外大ポルトガル語学科卒。98年入社。静岡支局、文化社会部、朝日新 聞社会部警視庁担当を経て、文化社会部に帰任。事件、事故など中心に行き当たりばったりながら体当たりで取材。体重95キロ。

サンパウロに根差すサムライ魂


 【サンパウロ26日(日本時間27日)】サンパウロでは、日本文化がブラジル人にも伝承されている。佐賀県人会会館にある剣道道場「葉隠(はがくれ)館」では、館長の教士7段岸川吉朗さん(78)が、約30人の門下生に、剣道を指導。稽古に通う人は非日系のブラジル人が90%以上。運動目的だけでなく、日本の武士道の精神を学んでいる。

 サンパウロの東洋人街「リベルダージ地区」。佐賀県人会会館の体育館に「ハイッ」「センセイッ」「コテ! メ~ン! ドウッ!」の気合のこもった大きな声が響いた。

 壁には「葉隠館」の看板。館長の岸川さんの指導のもとで、激しい打ち合いが続く。約1時間の全体稽古の終盤、岸川さんが「素振り200回」と掛け声をかけると、全員が「ハイッ」と応え、鬼気迫る様子で「イチ、ニイ、サン」と、一心不乱に竹刀を振った。

 門下生は木曜日の午後7時から13人、土曜日の午前10時から28人が集まる。女性剣士も4人、少年剣士も4人いる。多くが非日系のブラジル人だ。

 「寿悧安」と名前の入った前垂れの門下生ジュリアーノ・ムニズさん(37)は、IT会社のプロジェクトマネジャー。剣道歴は9年で段位は3段だ。入門した理由を聞くと「技術だけでなく、武士道を通じた精神の修養が目的です。剣道を通じ、心を静かにすること、洞察力、先を取ること、さまざまなことを学び、職場や普段の生活でも実践しています」と話した。

 館長の岸川さんは佐賀県出身。1959年、妻の道子さん(75=6段)と移民船でブラジルに渡り、電子関係の会社に勤めた。高校時代から続けていた柔道でけがをし、稽古ができなくなった70年に、負けじ魂で「ならば防具を着ける剣道を」と一念発起。当時7歳だった長男ジョージさん(51=教士7段)と5歳だった次男ロベルトさん(49=教士8段)と道子さんの一家4人で剣道を始めた。

 ブラジルで剣道の世界大会が開かれた1982年に当地を訪れた佐賀県出身の桜木哲史選手の提案を受け、当時の県知事の強い要請も重なって、県人会館に道場を作った。当初は日系人や、日本人駐在員の子どもたちが中心だったが、3世、4世の時代になると、徐々に門下生が減った。しかし、近年は日本文化に興味を持つ非日系のブラジル人が入門し、剣道を通じて武士道を学んでいる。

 ブラジルで行われたサッカーW杯で、「サムライ」こと日本代表は敗退してしまった。岸川さんは「諦めたら終わりです。捲土(けんど)重来を期待しています」と、エールを送った。























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