広島、岡山、香川など瀬戸内海の近県7県を拠点に昨年、活動を開始したSTU48が、今月31日にシングル「暗闇」でメジャーデビューする。メンバーのほとんどが7県の出身メンバーで、活動も地元がほとんど。東京にいると、なかなか取材するチャンスに恵まれない。そんな彼女たちを先日、ようやく東京で取材できる機会があった。

 日本テレビ系バラエティー番組「STU48のセトビンゴ!」(1月15日深夜1時29分スタート)の収録が昨年12月、都内スタジオで行われた。出演メンバーは、全メンバーの半分ちょっとの19人。まだ顔と名前、キャラクターが一致しないメンバーもいたが、胸に付けた名札を手がかりに、1人1人の頑張りを見届けた。驚いた。多くのメンバーが、怖いもの知らずの積極性を持ち、自己紹介がてら一芸をアピールするコーナーでは、MCのメイプル超合金に身を乗り出しながら自らを売り込んでいた。芸の出来はともかく、誰もが尻込みすることなく、ある者は手を挙げ、ある者は自らひな壇を降り、ある者は体を張っていた。一生懸命さが生み出す、思わぬ笑いもあった。

 初回収録では矢野帆夏、甲斐心愛、磯貝花音、そしてエース瀧野由美子の活躍が目立った。AKB48グループ新聞1月号(1月19日より全国順次発売)で詳報するが、特に矢野は、おしりでクルミの殻を割るという芸を、恥ずかしげもなくやってのけた。アイドル好きではなかったのに、アイドルになってしまったという変わり種。それゆえ、アイドルとしての「限界値」という概念を持っておらず、今後も思いもよらぬ活躍が期待できそうだ。

 矢野以外にも、多くのメンバーの魅力を発見できた、実りある収録取材だった。STU48が個性あふれる集団であることがよく分かったが、問題は、彼女たちを今後どう「露出」させていくかだ。先述したように、東京からグループの拠点(基本は広島になりそう)までは、新幹線でも4時間。飛行機を使っても、広島空港から同市内まで車で1時間と、かなり遠い。地理的に大きな不利を抱えているのだ。

 12月まで行われていた瀬戸内7県をめぐるツアーでは、東京や大阪のメディアは会場に入れず、取材を申し込んでも断られた。ツアー千秋楽では、レコード会社が東京からメディアを呼ぶ計画があったが、中止になった。理由は、会場の狭さだった。ネットの生中継で見られる公演もあり、そちらでの「観覧」を勧められたが、画面を通して見るのと現場で熱気を感じながら見るのとでは、天と地ほどの差がある。現場に足しげく通うファンなら、痛いほど分かるだろう。

 デビューまで1カ月を切った。現時点でSTU48の魅力に気づいている東京、大阪のメディアは、残念ながらまだそれほど多くない。直接的にファンを増やしていくことはもちろん大事だが、それと並行して、できるだけ多くのメディアを巻き込んでいくことが、グループ成功のカギを握ると言っても過言ではないだろう。