聴く者を魅了する透き通った歌声が、ホールに響き渡る-。乃木坂46奥田いろは(21)が、ミュージカル「秘密の花園」(10月17日から、東京・よみうり大手町ホール)に出演する。自身4度目となるミュージカルの今作は日本初上陸となる韓国発の大人気作品で、未経験の挑戦が盛りだくさん。まさに“花園”の名にふさわしい上品な振る舞いと華麗な姿をベースに、まだ見ぬ一面が花開く時が来た。【寺本吏輝】
★一人二役に挑戦
同作の舞台は1950年代の孤児院で、子どもたちが物語「秘密の花園」を演じながら、傷ついた心を植物の生命力とともに再生させる心温まるストーリー。
今作では一人二役に初挑戦し「本当に難しいです」と試行錯誤を重ねる。演じるのは孤児院で暮らす17歳のエイミーと、物語の中の10歳の少女メアリー。「1つの作品の中でエイミーとしてもメアリーとしても成長しないといけない難しさがありつつ、考えていくのがすごく楽しいです」と充実の稽古期間を送る。
実年齢の約半分の役を前に「10歳ってどう演じるんだろう、って。公園に行って子供の動きの研究もしました。共演者の方からは『いろちゃんはこの間じゃん!』って言われましたが(笑い)」。向上心を持ち、キラキラした瞳に映る景色をヒントに変えてきた。
これまで演じてきた系統と大きく異なる役だ。「今までは女王様やお嬢様の役でドレスを着ることが多かったですが、今回は普通の女の子と少女。でも、言葉遣いが『あんたさ!』みたいな。普段の私と違うので表現の仕方が新鮮です」。くだけた言葉遣いが新鮮なのは、丁寧さにあふれる日々を送っている「らしさ」ならではなのかもしれない。
一方、「お稽古が始まる前に皆で本読みした時から号泣しちゃいました」とも。作品について「孤児院ですから、それぞれに痛みや傷がある。それぞれ違う形で表れる痛みが美しい作品だと思います」と評した。家族という身近なテーマに関する痛み。「これまでは役作りって何をしたら良いですかって周りに聞いて回ることもありましたが、今回は深く考えずとも号泣できるし腹の底から笑えて、役として生きられている感じがします」と感情移入に大きな手応えを得ている。
★ノンストップ劇
さらに、一度ステージに立つと戻ることなく演じきるノンストップ劇でもあると明かした。こちらも初挑戦となるが「全編を通してものすごくカロリーを消費する気がします。見る方は絶対に楽しいと思います」とにやり。不安より楽しみが勝つ。制作発表会見で発した「好奇心を取ったらいろはじゃない」との言葉通り、全てに目を輝かせて挑んでいる。
グループ屈指の歌唱力を誇るが、心に直接届く美声の秘訣(ひけつ)はずばり「その世界に入り込んで歌うこと」だという。「ミュージカルでは登場人物の大事な気持ちを表現する時に歌います。曲の始まりと終わりでは心情が絶対に変わっているので、楽しんでいただきたいです」とアピールした。
★「客観視カメラ」
ミュージカルを通して、歌唱力に加えて「ダンスを表現したいように表現できるようになって、変わったなって思います」と、うれしそうに話した。「前回の『レイディ・ベス』から、今の動きはこう見えるだろうな、自分では大きく動いているつもりでもそう見えないな、と分かるようになってきました。『客観視カメラ』みたいな!」。
今夏のグループのツアーでも確かな成長を見せ「歌だけじゃなくてダンスも輝いているよって教えてくださる方が多くて、うれしいです」と笑顔が光った。
元来、音楽が流れているところ全てがこだわりだというプロ意識の持ち主だ。
「私の中ですごく新鮮で挑戦が多い舞台で、しかも日本初演です。物語の最後の曲になった時、すごくグッとくるものがあると思います」
アイドルとして、ミュージカルスターとして、惹(ひ)き込まれるようなまなざしと表現が、観客の心もきっと癒やすだろう。
◆奥田(おくだ)いろは 2005年(平17)8月20日、千葉県生まれ。22年2月加入の5期生。「ロミオ&ジュリエット」(24年)「1789-バスティーユの恋人たち-」(25年)「レイディ・ベス」(26年)などミュージカルでも活躍。愛称「いろは」など。157センチ。血液型A。








