ドラマ「北の国から」などで知られる脚本家の倉本聰(くらもと・そう、本名山谷馨=やまや・かおる)さんが18日、多臓器不全のため、北海道・富良野市の自宅で死去した。91歳。倉本財団が28日、公式サイトで発表した。

葬儀は近親者で執り行われた。晩年も、老後の人生を描いたテレビ朝日系ドラマ「やすらぎの郷」など創作意欲は衰えなかった。

   ◇   ◇   ◇

倉本さんと酒を酌み交わす機会があった。23年6月17日、場所は北海道・小樽。倉本さんにとって88年「海へ~See you~」以来、映画の脚本を手がけた24年公開の「海の沈黙」(若松節朗監督)の製作報告会見とロケを取材した夜、すし店で懇親会が開かれた。宴たけなわとなった時、倉本さんは「真実の愛とは」と語り出した。

「海の沈黙」は、初タッグの本木雅弘が贋作(がんさく)事件の犯人と疑われる天才画家、“花の82年組”の同期・小泉今日子が、元恋人のろうそく作家を演じた。会見では、不倫について問われた倉本さんが「愛は不倫であること以前に永遠のものじゃないですか」と答える一幕があった。

そうした流れもあったからか、すしをつまみ、酒を飲むと「男女の本当の愛というのはね」と切り出した。「不倫であろうとなかろうと、若い頃の愛って見詰め合う。年を取ってくると、見詰め合わなくなる代わりに同じものを見て、聞くようになる。『あれ良いね』と言ったら『あれ良いね』と返すのは、年を取ろうと取るまいと、愛」。もう、聴き入るしかなかった。

同じものを見て、感動する愛の本質に到達したのは「55、56歳くらいかな」と明かした。「森の中に住んでいるでしょ。葉っぱの、ひとひらだけが動くことがある。見ていると『舞っているね』となる。それが愛」。42歳だった77年に北海道・富良野に移住し、自然から愛の本質を感じたと感慨深げに語った。

「タバコも10本くらい、吸うよ」と、ロケ現場でもタバコをくゆらせつつ「もうすぐすると死んじゃう。生きているうちに何か書きたいから」と口にした。結果的に「海の沈黙」が、最後の映画作品となった。【村上幸将】

【まとめ】倉本聰さん死去、各界から悼む声 さだまさし、石坂浩二、本木雅弘ら>>