★米国の中間選挙に関係するのか、フィリピンのセブで開催された拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)の機会に米国が、いやトランプ政権の厄介者、ピート・ヘグセス国防長官と防衛相・小泉進次郎が会談し、防衛力によって相手の侵攻を思いとどまらせる「拒否する防衛力」の強化で一致した。ここで注目されるのが第一列島線。米国にとっては中国の太平洋に向けた海洋進出をけん制、封じ込めに使われる安全保障用語で、九州、沖縄の先島諸島から台湾、フィリピン、ボルネオ諸島(インドネシア・マレーシア領など)を指す。一方、中国側から見れば第一列島線の内側(黄海・東シナ海・南シナ海)を「近海」と位置づけ自国の庭先との考えを定着させている。さらに伊豆諸島・小笠原諸島・グアム・サイパンなどを結ぶ第二列島線は米側にとっては最後のとりでともいえる。
★さて、ヘグセスはなぜ厄介者か。国防総省(ペンタゴン)を戦争省にすると言い出し同省の大幅な刷新と軍内の「多様性・公平性・包括性(DEI)」関連の施策や、従来の「ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)」に基づく方針を徹底的に排除・撤廃にいそしみ、高官の粛清など軍の秩序を壊している。女性・マイノリティーの将官の昇進はストップし、軍内に動揺と摩擦がはびこった。また「軍の弁護士や規定が部隊の致命的な戦闘能力を縛っている」と行政経験が乏しく素人的に作戦に介入するなど、議会の与野党からも強い反発があるからだ。
★そのヘグセスは小泉を「シン」とファーストネームで呼び、「世界のカウンターパートの中で一番話している」と語るほど仲がいい。ヘグセス初来日には小泉の地元・横須賀のスカジャンに2人の名前の刺しゅうを入れプレゼントするなど馬が合う。「日米防衛相の仲がいいのは結構だが、ヘグセスと蜜月というのは別のハレーションを呼ぶ。父親譲りの『日米関係がしっかりしていれば(うまくいっていれば)他の外交も連動して好転するはずだ』との楽観論は父親がアジア外交で苦労したことと重なり、改めて親子だなあと思うが好戦的な一部の自衛官に持ち上げられても、日本の防衛は別の役割も多い。「小泉はかじを切りすぎている」とは自民党防衛族の1人。心配のタネは尽きない。(K)※敬称略


