米政府は24日、ウクライナ支援の緊急予算成立を受け、ロシアが侵攻を続けるウクライナに10億ドル(約1550億円)相当の軍事支援をすると発表した。本格的な武器供与は約4カ月ぶりとなる。昨年12月下旬に予算がほぼ枯渇し、継続的な支援ができなくなっていた。バイデン大統領は、弾薬や防空装備を「直ちに発送する」と表明した。

弾薬のほか、地対空ミサイル「スティンガー」や対戦車ミサイル「ジャベリン」などを供与する。数日内に届き始める見通しで、国防総省は「防衛に必要な支援を今後も続ける」と強調した。

米政府は、最大射程がより長い型の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」が今月ウクライナに到着していたことも明らかにした。最大射程165キロの型を供与していたが、ウクライナ側がより遠くを攻撃できる型を望んでいた。

米議会では昨年10月以降、トランプ前大統領に近い共和党保守強硬派の一部が予算案に反対して審議が停滞。昨年12月下旬の支援表明を最後に予算が足りなくなった。それ以降は今年3月、想定外のコスト削減によって3億ドルの支援を捻出したのみだった。

サリバン大統領補佐官は「予算確保までの道のりは非常に長かった」と振り返った。

この間、ロシアはウクライナのインフラ施設や都市部の人口密集地を無人機やミサイルで攻撃し続けた。ウクライナは弾薬や防空ミサイルの不足を訴え、支援を急ぐよう繰り返し嘆願していた。

バイデン氏は予算案に署名後、トランプ氏に影響を受けた共和党が支援を「何カ月間も妨害した」と非難。ウクライナが苦しむ間にロシアはイランや北朝鮮、中国から支援を受けていたと指摘した。(共同)