バイデン米大統領は24日、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」について、全米でアプリ配信禁止を可能にする法案に署名し、同法が成立した。

ティックトックの運営会社は同日の声明で「憲法に反する法律だ。法廷で闘い、最終的に勝利する」と反発した。

同法は、ティックトック運営会社の親会社、北京字節跳動科技(バイトダンス)に対して約9カ月以内に米国事業を非中国企業に売却するよう求め、応じない場合は米国でのアプリ配信を禁じる内容。中国政府はティックトックのデータが非中国企業に渡ることを望んでおらず、運営側は全面的に争うとみられる。

運営会社は声明で、米国のデータを安全に保ち、外部の影響から守るため巨額の投資を続けてきたとし、同法が多数の米国人を「沈黙させる」と批判した。周受資最高経営責任者(CEO)はティックトックに動画を投稿し「われわれは退かない」と強調した。

上院は23日、下院を通過した法案を超党派で可決。これを受けて民主党のバイデン氏が署名した。11月の大統領選で返り咲きを目指す共和党のトランプ前大統領は配信禁止を批判している。運営側は、トランプ氏が当選すれば風向きが変わるとみて法廷闘争を長期化させる可能性もある。

ティックトックは若者を中心に米国で約1億7千万人が利用しているとされる。中国政府の情報収集や世論操作に悪用され、安全保障上の脅威になると懸念される一方、禁止すれば言論の自由に反するとの意見もある。トランプ氏は22日、自身のソーシャルメディアで、利用を禁止する責任はバイデン氏にあると非難していた。(共同)