ダイハツ工業は7日、車の量産に必要な「型式指定」における国の認証試験不正で停止していた軽自動車「コペン」の生産を大阪府池田市の本社工場で再開した。昨年12月26日に国内の全完成車工場が停止したが、4府県にある工場が約4カ月半ぶりに全て稼働した。国内の景況感にも大きな影響を与えた認証不正問題は一つの区切りを迎え、ダイハツは信頼回復に向け再出発した。

7日朝、本社工場で働く約200人の従業員が出勤した。管理部門の50代男性は「生産が再開できてよかった。前を向いていきたい」と話した。ダイハツは「これまで以上に一台一台丁寧に(車を)つくり品質を確保したい。愚直に一歩ずつ取り組む」とのコメントを出した。

4カ月半の間に一部の派遣社員は契約切れとなった。5月から採用されたという30代の男性は「まだまだ分からないことばかりだ」と不安そうな表情で工場に向かった。

今年2月以降、ダイハツは京都工場(京都府大山崎町)、子会社ダイハツ九州の大分第1、第2工場(大分県中津市)、滋賀工場(滋賀県竜王町)で順次生産を再開。本社工場だけが稼働していなかった。

国土交通省は3月、コペンが安全や環境に関する性能の基準(保安基準)を満たすことを確認し、出荷停止指示を解除。ダイハツは仕入れ先や販売会社と連携しながら、生産再開の準備を進めてきた。

4月には国交省の出荷停止指示解除で、現行27車種全ての出荷が可能となった。今後は親会社のトヨタ自動車が小型車の開発を主導し、認証に責任を持つ新方針を発表している。

日銀が4月に発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)では、ダイハツの出荷停止の影響で、大企業製造業の景況感が4四半期ぶりに悪化した。(共同)