東京都の小池百合子知事は2日の会見で、東京五輪会場見直し問題に関し、自身が目指した案すべてが実現しなかった場合、「大山鳴動して鼠(ねずみ)一匹」に終わると指摘され、「ちょっと、それは失礼なんじゃありませんか」と、気色ばんだ。見直しの問題提起でコスト削減がさらに進んだと、徹底的に反論した。

 「バレーボールが有明で行われれば、『大山鳴動して鼠一匹』といいますか…」。大騒ぎした割に結果が小さいことのたとえを持ち出された小池氏は、質問を途中で制し、「ちょっとそれは失礼なんじゃないですか」と、凍り付いたような笑顔で言い放った。

 3競技会場のうち、ボート&カヌー・スプリント、水泳は、コスト削減や座席数を減らす流れはできたが、従来案が採用。質問は、小池氏がこだわるバレーボールの横浜アリーナ開催案も「かなり難しい」として、3会場とも見直しが実現しなければ「ある種の瑕疵(かし)になるのでは」と指摘した。

 小池氏は、「それはまったく当たりませんね」と、反論。とげのある声色で、目は笑っていなかった。

 「『2000億円削った』という方もいるが、(見直しで)さらに削った。その分を、見過ごしておられたのではないですか」と、大会組織委員会の森喜朗会長の発言に疑問を呈した。「このままでは豊洲ではないが、どんどん(コストが)膨らんだ。誰が歯止めをかけるんですか。IOC(国際オリンピック委員会)ですか、組織委ですか」と、詰問調でたたみかけた。

 3会場とも従来案なら、「3敗」と勝敗論で語られることに、小池氏の不快感は強い。既存施設の活用の模索は、IOCの求めに沿ったものとの思いがあり、コスト削減が評価されないのも納得いかないようだ。

 「ねずみどころか、大きな黒い頭のねずみが、いっぱいいることが分かったじゃないですか。入札の方式はどうなんですか」と、五輪予算をめぐる闇を「大きな黒い頭のねずみ」に例えてけん制。不透明なカネの流れを念頭に「これから頭の黒いねずみをどんどん探したい」と、「抵抗勢力」に通告した。【中山知子】

 ◆大山鳴動(たいざんめいどう)して鼠一匹 もとは西洋のことわざ。大きな山が音を響かせて揺れ動くので、大噴火でも起こるのかと思っていたら、鼠が一匹出てきただけだったとの意。大騒ぎをした割には、結果がごく小さかった場合に使われる。