安倍晋三首相は5日、衆参両院の委員会で、首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる自身の関与を一貫して否定した。民進党から、首相と理事長や学園側の「近さ」を示す質問が続くと「印象操作だ」と反論。「違う」「いいかげんなことを言うんじゃないよ」と、自席に座ったまま怒りのやじを飛ばした。

 衆院決算行政監視委員会では、学園の加計孝太郎理事長が13年5月、首相のミャンマー訪問に政府専用機で同行していたことが、民進党の宮崎岳志議員の指摘で判明した。外務省は「総理の一部外国訪問では、民間企業や大学などの希望者に経済ミッションで同行してもらっている」と説明。理事長らはヤンゴンから首都ネピドーまで、運賃を払い専用機に同乗したと述べた。

 すると首相は、「支払いも政府がやっているかのように指摘し、空振りをされた」と宮崎氏を批判。首相の昭恵夫人と学園が、ミャンマーの教育支援活動に縁があることを「持ちつ持たれつの関係」と指摘されると、「加計はいいことをしているから、いっしょにやるのは当然だ」と主張した。

 夫人が「男たちの悪巧み」と題し、フェイスブックに投稿した写真をパネルで示されると「本当に悪巧みをするなら写真なんか出さない。3秒くらい考えれば分かる」と指摘。自身も自席から反論する半面、野党のやじが激しくなると、「場外から言われると集中できない」と主張した。

 自身の関与は「できない仕組みになっている。私の意向は入りようがない」と突っぱねた。「総理のご意向」文書の存在を明言した前川喜平・前文部科学省事務次官の証言内容も否定。前川氏を「うそつきと思うか」とした質問には、答えなかった。【中山知子】