安倍晋三首相は25日の参院予算委員会閉会中審査で、友人の加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園の獣医学部計画を把握した時期を「今年1月20日」とした24日の答弁と、通常国会での答弁の違いを指摘され、謝罪に追い込まれた。「質問が急だった」「混乱していた」などと言い訳し、過去の答弁の方を修正した。加計氏からの「供応接待疑惑」から、距離を置くためとの見方もある。一方、加計氏が昨年、特区関連の閣僚を訪れ、学部新設に触れていたことが判明した。

 学園の獣医学部設置計画を把握した時期を巡り、首相の答弁が大混乱に陥った。首相は24日の衆院予算委員会で、把握したのは、国家戦略特区への申請が認められた今年1月20日と主張。首相と加計氏の近さもあって、野党は「あり得ない」と指摘したが、首相は、「1・20」と主張した。

 一夜明けて、事態は一転した。野党は、首相が先月の参院決算委員会などで「特区に、今治市とともに申請を出した段階で承知した」と述べていたと暴露。学園が特区に応募したのは1月10日で、首相の「自己矛盾」が表面化した。

 民進党の蓮舫代表の指摘に、首相は「(当時は)急な質問だったので、混乱した」と責任転嫁。蓮舫氏に「急に質問はしていない。通告もしてある」と論破されると、「整理が不十分なまま答えた。混同があった。おわびをしなければならない」と、謝罪した。

 首相は、かつての答弁で「(申請を)知り得る立場にいた」とも述べているが、「実際には全く認識していなかった」とまで主張。かつての答弁の「いいかげんさ」を認めてまで、24日に述べた「1・20」が正しいとの立場を貫いた。