衆議院は28日、午後の本会議で解散され、10月22日の投開票日に向けて、事実上の選挙戦に突入した。民進党の前原誠司代表は、小池百合子東京都知事が代表を務める「希望の党」への事実上の合流を両院議員総会で提案。了承され、政権交代を目指す姿勢を強調した。小池氏は都内の日本記者クラブで会見を行い、衆院選出馬をこの日は否定。民進党離党者について、安保法制に否定的な候補者を公認しない考えを示し、党内選抜を始めた模様だ。

 民進前原氏の苦渋の決断とは裏腹に、小池氏は選挙戦へ向け余裕の表情でタクトを振った。かねて「民進党と党としての合流はない」との主張をあらためて強調した上で、安保法制や憲法観を“踏み絵”とする考えを示した。

 民進には、安倍政権が整備した安保法制は違憲だとする人も多い。選挙で過半数を獲得しても「空中分解するのでは」との質問に小池氏は「『希望の党』に入る希望がある方で、安保法制に賛成しなかった方はそもそもアプライ(申し込み)してこないと思う」と明確な一線を引いた。その上で「北朝鮮問題、中国公船が活発に動いている状況で、リアルに考えている方もいると思う」とそれぞれに話を聞く意向を示した。

 憲法9条改正については、これまで同様はぐらかした。安全保障について「自民党との差異が見えない」と指摘されても、9条に3項を追加し、自衛隊を明記する「安倍案」を挙げて「(自衛隊は)元々合憲。理解に苦しむ」とだけ話すにとどめ、明言を避けた。

 安倍自民党の批判も忘れなかった。保守政党としての違いを問われ「長い間のお付き合いが、しがらみとなり改革できない。加計学園もそうだが『お友達優先』の改革は、改革ではない」と非難。自身の考えとして「改革とは、ある種の産業にはこれ以上サポートしないと、かなり冷徹な部分がある。それが出来ないことが日本の地位をおとしめている」とまで言った。

 「最初から野党を狙ってやる選挙などない。政権選択選挙だ」と政権奪取を宣言。「原発ゼロ政策」は「2030年まで」と、初めて具体的な期限を示した。臆測を呼んでいる自身の衆院選出馬には、否定的な考えを示した。「私が国政に戻るのではとか、後継は誰だとかにぎわっているが、今の国会が変わらない限り都政で頑張る」と笑った。【三須一紀】