ホテルが独自のサービスを打ち出している。東京都港区の「品川プリンスホテルNタワー」では、明日2日から自律走行型デリバリーロボット「Relay(リレイ)」を導入。客室にアメニティーを運ぶ。利便性の高さで、さらなる顧客の獲得を目指す。この他のホテルでも、ロボットによるフロント、生け花体験、2段ベッドなどを採用。エンタメ性を高めたり、「おもてなし」を重視するなどして、より利用者側に寄り添ったサービスが目立っている。

 1台しかないRelayが、ロビーで客室から注文を受ける。ホテルのスタッフが、縦22センチ、横26センチ、深さ37センチ、容量21リットルの格納スペースにタオルなどのアメニティーを入れる。身長92センチ、体重40・8キロのグレーのボディーが、人や障害物を避けながら動く。エレベーターにも自動搭乗して、インプットされた階まで上がって行く。部屋の前に到着すると、電話を鳴らしてドアを開けてもらい、荷物を受け取ってもらう。

 この間、10~15分。荷物の重さは4・5キロ以下と限定される。防水機能がないため、ビールなどは厳しいが、ルームサービスとエンタメの二刀流話題ロボとして、雑談のネタにはなる。

 「品川プリンスホテルNタワー」では2年前からRelayを開発、製造している米国のロボットベンチャー企業「サビオーク」社と協議を重ねてきた。幹部社員が海外出張した際、ヒルトン、マリオットといった有名ホテルで導入されているのを見て、検討してきた。「うちの敷地内には水族館、映画館、ボウリング場などの施設がある。ホテルの枠を超えたエンタメタウンとして、新たなおもてなしの提案をしたかった」と、同ホテル広報では説明する。

 一般に人工知能(AI)搭載機能といえば将来、人間の仕事を奪いかねないとの懸念がある。こちらでは、あくまで人間の代わりでなく、大切なホテルスタッフの一員と位置付けている。

 今は安全性の高いものしか運べないが、将来的にはペットボトルなども載せられるようにしていく。「20~40代の男女のビジネス利用者を対象に、導入後の反応をまずは見る」(同ホテル広報)。品川で台数を複数にするとか、同じプリンスホテルグループに導入するなど、検討していく。

 ホテルで泊まる際、利用者は「価格が安い」「駅や繁華街に近い」「朝食無料」「大浴場やサウナがある」といった、自分に合う条件から選ぶ。その選択肢の中に、オリジナルのロボットサービスが加わってもおかしくない。【赤塚辰浩】

 ◆品川プリンスホテルNタワー 2013年(平25)3月に改装オープン。客室数257。宿泊者が無料で利用できる空間「ビジネスラウンジ」を設置したほか、チェックイン・チェックアウトの自動システムを採用。宿泊者専用ロッカーも設置。14年11月からは、ビジネスラウンジで朝に軽食をサービスする「N’s Morning」を開始。【電話】03・3440・1111。ホームページのアドレスはwww.princehotels.co.jp/shinagawa/ntower/