選挙直前に生まれた「立憲民主党」の政調会長に就き、12日間を戦った辻元清美氏(57)は21日夜、阪急・高槻市駅前でマイクを納め、安倍政権を「退陣に追い込みたい」と語った。

 今回は、民進党の事実上の解党で、急きょ、枝野幸男代表(53)が立ち上げた同党からの出馬。急造政党ながら、日々定着を実感し「立憲民主党というのは、今の時代の危機感に呼ばれた政党ではないかと思っています。時代の流れの中で生まれた必然だったかもしれない」と感じるようになっていった。

 街頭では「へこたれるな」「ぶれなくてよかった」との声を多く聞き、その声の内容も「頼むで」から「一緒に戦おう」に変わっていったという。

 安倍晋三首相、自民への感触も「森友問題、加計問題、皆さんいろいろ思い出されたのか、たまってきたものがあったのか、その受け皿を求めていたのか、(反自民勢力が)強くなっていたように感じた」と手ごたえも口にした。

 安倍首相が立憲民主党を「選挙のための政党」と表現したことには「全然違います。国民運動やと思います。だから、怖いからそんなこと言ってるんちゃいますか? 安倍さんは」と斬って捨てた。

 「各選挙区で、そういう(反自民)の動きがあれば、競り勝っていく人たちが増えて、(自民が)議席を減らすのかな」とまで、踏み込み、「しっかりと地盤を固めて、対峙して、安倍首相を退陣に追い込みたい」と語気を強めた。

 この日は最後の演説でも改憲に反対の姿勢を明確にし「私は自衛隊員の命を守りたい」と話していたが、12日間の戦いを終え「私たちは、これからが戦い。明日(の投開票で当選し)議会に送っていただけるのであれば、ひじょうに責任が重い」と覚悟も。「議員は立憲民主運動の一部。運動を広めないといけない」と続けた。

 辻元氏が出馬した大阪10区では毎回、辻元氏と松浪健太氏(維新=46)が激しい争いを繰り広げており、小選挙区では前回14年は辻元氏が勝ったが、前々回12年は松浪氏に軍配。両者の対決は今回が5度目になるが、いまだ“連勝”はともにない。

 今回は、選挙戦初日の10日に、松浪氏のもとへアントニオ猪木参院議員(74)が応援に入り、辻元氏のもとにも13日には民進党の蓮舫前代表(49)が、その後も立憲民主党の枝野幸男代表(53)らが入るなど、対抗してきた。

 同区には、共産が候補を立てずに辻元氏を推しており、全国でも異例の選挙区。自民は大隈(おおくま)和英氏を立て、安倍晋三首相(63)も16日に応援に入るなどし、自民も「重点区」の位置づけで選挙戦に臨んできた。

 激戦区で、辻元氏は今回初めて、選挙戦中に他の選挙区へ応援に入った。枝野代表の来阪にあわせ、党政調会長として、大阪市内などを回った。

 小選挙区で椅子を勝ち取った前回14年の手ごたえと比べ「今回は、質が違う。『私たちも一緒に民主主義を再生させなければ』という思いを感じた」と話していた。