財務省の太田充理財局長は28日の衆院予算委員会で、学校法人「森友学園」への国有地売却に関し、国と学園側が「口裏合わせ」をしたとされる新たな音声データについて、その存在を認めた。共産党の宮本岳志議員の質問に答えた。

 この音声データは今年9月、値引きの算定根拠となったごみ埋設状況を巡り、国と学園側が、新たなごみが見つかったかのように口裏合わせをした可能性があると、一部で報じられた。太田氏は口裏合わせは否定した上で、「近畿財務局の職員が、昨年3月下旬から4月ごろに森友学園を訪問した際のやりとりと思われる」と説明。「新たな地下埋設物の撤去費用の資料提出を、お願いしたということだ」と釈明した。

 一方で、太田氏は、森友側との契約と同様に分割払いを認めたり、契約金額を非公表にしたケースが、ほかにどれくらいあるかと問われ、いずれも「本件のみ」と答えた。森友との取引の「特殊性」を引き出したことで、野党からは「え~」の声が上がった。「森友ありき」の一端は垣間見えたものの、野党側も政府を追い詰めるには至らなかった。衆院予算委の「モリカケ論戦」は2日間の論戦を終え、きょう29日からは参院に舞台を移す。野党側は追及の「質」が問われる。