大相撲の横綱日馬富士(33)の引退は、永田町も揺るがした。11年の八百長事件を機に設立された超党派の「大相撲の発展を求める議員連盟」が29日、国会内で開いた総会では出席者から、真相解明が終わらないうちの引退判断には、慎重であるべきだったと懸念の声が出た。沈黙を続ける貴乃花親方(45)に、議連として話を聞きたいという声も上がったという。

 会合は、暴行問題について関係省庁からヒアリングする目的で開かれたが、引退問題にも話が及んだ。会長を務める自民党の竹本直一衆院議員は「八百長問題が起きた当時の危機感が再燃し、不安に思う」と指摘。「あくまでも暴力はいけないことだ」とした上で、「(進退に関し)そう簡単に、ことを進めない方がいいという結論になった。周囲の雰囲気にのまれて辞めざるを得ないようなことは、(本来は)避けた方がいい」とした。平沢勝栄衆院議員も「まだ真相がやぶの中みたいなところがある。事実関係がはっきりしない中で、ムードや風で、物事が決められているのではないかとの声があった」と述べた。

 問題は、日馬富士の故郷モンゴルでも注目されている。今回の結論は日本との友好関係に影響しかねず、竹本氏は「慎重に対応しなければいけない」とも指摘した。次回会合には、日本相撲協会に加えて、警察庁や外務省からも話を聞く意向を示した。

 貴乃花親方についても「来てもらえるなら、話を聞きたい」と述べた。出席者からは「(相撲界の)構造的な問題もあるのではないか。貴乃花親方を含めて多くの方の話を聞き、若い方が魅力を感じて入門できるよう、システムを改築した方がいい」との意見も出された。